ポーラ化成工業、熱中症リスク判定AIカメラの社会実証試験を開始(23.6.26)

ポーラ・オルビスグループの研究・開発・生産を担うポーラ化成工業(株)(神奈川・横浜市、釘丸和也社長)は、総合建設業3社と連携し、「熱中症リスク判定AIカメラ」の建設現場での有用性検証を、2023年6月から9月の期間で開始した。

●建設会社と連携し、熱中症リスク判定AIカメラの実証試験を開始   
ポーラ化成工業はこれまで、豊田工業高等専門学校(以下、豊田高専)および建設現場向けのシステム開発を得意とする(株)DUMSCOと連携し、カメラに顔をかざしてリスクを判定できる熱中症予防システム(熱中症リスク判定AIカメラ)の開発を主導してきた(図1、補足資料1)。

そして、本システムの試作開発品を実際の建設現場に導入した際の価値を検証する社会実証試験を開始。試験には、(株)竹中工務店、太啓建設(株)、三和建設(株)が協力(補足資料2)。3社の建設現場から、規模や施工内容などが異なる複数の場を選定し、2023年6月から9月にかけて、熱中症リスク判定AIカメラの有用性や使用性を確認する。

●実証試験の概要
タブレット端末を休憩所の入り口など建設作業員の行動導線上に据え置き、作業員は朝礼前と昼休憩前を中心に一日複数回カメラに顔をかざし、熱中症のリスク判定を行う(図2)。


リスクが高いと判定されると、作業員は職長や監督者へ申告し、職長や監督者はリスクの高かった作業員への体調確認を優先的に行うことで、熱中症発症の未然防止を図る。今回の試験では、本カメラの導入により、現場管理者や職長にとって現場安全管理や工程管理に有用となるか、作業員自身の健康意識の向上につながるか、現場内での最適な設置場所や運用などを検証する。また、試験から得られた情報をもとに、現場でのより有効な活用方法の検討や課題抽出を行うこととしている。

●今後の開発計画
実証試験での知見をもとに2024年夏季に向けて改良を進める。また、今年開かれる第9回猛暑対策展(東京)や、建設DX展(大阪)において開発進捗について公開し、建設業界内での一層の連携を図る考え。


【補足資料1】 熱中症リスク判定AIカメラについて
本カメラは、豊田高専の熱中症リスク判定AI技術を基盤に、建設現場における熱中症対策としての活用を見込んで開発されたシステム。カメラに顔をかざすと熱中症リスクを判定しアラートを告げる仕組み。
形態:熱中症リスク判定AIのアプリケーションが搭載されたカメラ付きタブレット端末。
機能:体調不良・朝食抜き・運動後疲労など生体内リスク要因を顔画像から割り出し、外気温・湿度など外的要因も統合し熱中症リスクを判定。結果は色やアラート音で作業者へ伝達。現場監督は、PCやスマートフォンで人員全体のリスク判定データを確認できる。

【補足資料2】 本実証試験に協力する建設会社
首都圏で3カ所、愛知県豊田市で1カ所の建設現場を使用し、作業員数延べ数百名規模での実証試験を予定。
※連携が決定した順に記載
株式会社竹中工務店 https://www.takenaka.co.jp/
太啓建設株式会社 https://www.taikei-con.co.jp/
三和建設株式会社 https://www.sgc-web.co.jp/