J:COMなど4社、オープンキャッシングの実証実験を開始(22.12.7)

Qwilt Inc. (米・カリフォルニア州、Alon Maor CEO, Co-founder、以下Qwilt)、JCOM(株)(東京・千代田区、岩木陽一社長、以下J:COM)、(株)Jストリーム(東京・港区、石松俊雄社長)、日本インターネットエクスチェンジ(株)(東京・千代田区、山添亮介代表取締役、以下JPIX) は、エンドユーザーの視聴品質の向上、インターネットトラフィック流通の効率化のために、2023年1月からオープンキャッシング(※1)の実証実験を実施する。

<概要>
近年、インターネットのトラフィックは、動画の大容量化やパソコン等のOS・ゲーム等の配信により急激に増加。またコロナ禍におけるテレワークの普及によってもトラフィックが更に増加している。
特にトラフィックの大部分を占める動画視聴において、視聴品質(QoE) (※2)の担保がコンテンツ配信事業者とネットワーク事業者の共通の課題となっている。加えて、ネットワーク事業者は上位回線のトラフィックを減少させるために、自社ネットワーク内にコンテンツ配信サーバー(Cache Server)を設置したいと考えている。
これらの2つの課題を同時に解決できる方法として、オープンキャッシングが有効であると考え、4社にて実証実験を開始することとなった。この仕組みを活用することで、コンテンツをエンドユーザーにより近い場所から配信することができ、視聴者が高画質化した動画コンテンツを安定的に視聴できる。
本実証実験においては、国内に専用の検証環境を構築し、コンテンツ配信から受信に至るまでの基本的機能を実証する。また、ユーザー視点で動画ストリーミングの受信状況を計測し、ユーザー視点での効果測定も行い、事業者・ユーザー双方に高品質なサービス提供につながる実証実験を実施する。

実証実験概要

1.実施場所
 Qwilt、J:COM、Jストリーム、JPIX の各拠点
2.実験内容
 Open Cachingを用いた環境の基礎的動作の実証
Open Cachingを用いて構築したマルチCDN環境におけるコンテンツ配信の実証
Open Cachingを用いることによるQoEへの効果測定
3.実験期間
 2023年1月~3月(予定)
4. 実証実験の構成及び各社の役割
 以下の分担により下図の構成を構築し、上記実験内容を確認いたします。
・Origin Server  Jストリーム
・CDN       Jストリーム
・Open Caching Server (Shield Layer)   JPIX
・Open Caching Server (Edge Layer)   J:COM
・Open Caching System     Qwilt

※1 オープンキャッシング(Open Caching)
ISPとCDN事業者の新しい形の協力モデルであり、ISPが設置したキャッシュサーバを、CDNの共用型キャッシュサーバとして使用するモデル。米国の業界団体であるStreaming Video Technology Allianceが標準化をすすめている。
※2 視聴品質(QoE)
ユーザー視点で動画ストリーミングの受信状況を計測する手法。過去の実証実験では配信品質等の指標しか計測されていなかったが、今回はユーザー視点での効果測定も行う。