衛星データ解析ベンチャーのサグリ、圃場内外での気象データの同時定点観測を開始(21.9.1)
サグリ(株)(兵庫県丹波市、坪井 俊輔代表取締役CEO)は、衛星データを活用した農業課題解決へ取り組んでいるベンチャー企業。2021年8月30日発売の東洋経済の2021年度すごいベンチャー100にも選出された。
同社はこのほど、愛知県豊橋市における農業生産法人ドリームフィールドと連携し、気象観測装置を用いてビニールハウス等の施設圃場内外での気象データの同時定点観測を開始したことを発表した。
■愛知県豊橋市や農業生産法人ドリームフィールドとの関係性
愛知県豊橋市は令和元年度より経済産業省「Tellus利用促進実証事業」を通じて、ヒアリング対象地域としてサグリが協力を得ていた市。その際、農業生産法人ドリームフィールドにもヒアリングを行なっていた。令和2年度には、豊橋市衛星データ利活用促進事業」を通じて、豊橋市内でのキャベツ圃場を主とした路地野菜における気象観測衛星データや気象観測IoT装置などを用いてデータ計測・相関比較を実施。それらのデータ取得により、当社では、各データを比較検証した際の降雨量、日射量、温度、地温、風量などの相関性の検証や、実用化に取り組んでいる。
■施設園芸圃場における課題
今までの実証で検証を行っているデータは、露地栽培や水稲栽培を行う農業者が活用することは可能だが、ビニールハウスなどで施設栽培を行う農業者にとっては活用が困難だった。施設園芸では、施設内で人工的な施設内環境制御を行なっていれば、外部の気象データ等は重要視しなくて良いが、通常の施設の場合、施設内環境制御を行なっていない場合が多く、農業者による圃場の管理が必要となる。近年、スマート農業の加速に伴い、ビニールハウス施設内にIoT機器を設置し、データ駆動型の農業を行う農業者も増えているが、導入コストや維持費などが課題視されている。それらの課題を突破するために、現在、データ取得や二次加工が可能である、気象観測衛星データや気象観測装置を用いて、施設栽培を行う農業者へ現況に即したデータ提供を広域に行える状況が必要となっている。
■今回の定点観測のポイント
今回の気象観測装置を用いた同時定点観測では、定点観測が可能となる気象観測IoT装置で計測したデータを活用・相関性を検証し、施設圃場内の気象条件を気象観測衛星データや気象観測IoT装置アメダス等で露地栽培や水稲栽培などと同様に推定可能となること、さらには営農アプリケーション等を用いて、施設栽培を行なっている農業者様が圃場登録を行うことで、そられのデータ提供が行える状態を目指す。現在、自社で設置した気象観測装置では10分間隔でのハウス圃場内外の定点観測を開始しており、主に、ハウス内外の気温センサによる変化を10分間隔で計測し、日射量や地温との相関性を合わせて検証していく。また、簡易土壌水分計はハウス内での土壌の乾き度合いなどの時間推移を検証するために、同じ施設内へ設置しているが、外部で取得した土壌水分量や降雨量との相関検証は行わない。
図2: 設置した気象観測装置は図2のようにデータが可視化。
図3: 計測したデータは図3のように数値でデータが保存され、解析可能。
■サグリ株式会社について
設立年月:2018年6月
所在地:兵庫県丹波市氷上町常楽725-1
資本金:174百万円(準備金含む)
事業内容:衛星データ解析および機械学習による事業創出
公式サイト: https://sagri.tokyo/