衛星劇場、反戦の想いをのせた文学の映画化作品を8月に特集放送(21.7.1)

松竹ブロードキャスティング(株)(東京・中央区、井田 寛社長)が運営するCS放送局「衛星劇場」では、これまで毎年8月に「戦争と映画」と題した特集を組んできた。終戦から76年となる今年は、「戦争と映画2021 反戦の思想~戦争文学映画特集~」と題し、反戦の想いをのせた文学の映画化作品を特集放送する。
ラインナップは第3回読売文学賞を受賞した大岡昇平の原作を市川崑監督が映画化した「野火」(1959年)、菊村到の芥川賞受賞作を宇野重吉監督が映画化した「硫黄島」(1959年)、巣鴨拘置所に服役中のBC級戦犯の手記を映画化した、小林正樹監督による「壁あつき部屋」(1956年)、田村泰次郎の「春婦伝」を谷口千吉が監督、黒澤明が谷口と共に脚本を担当した「暁の脱走」の4本。

野火

©KADOKAWA 1959

放送日:8/4(水) 前7:45~ 他
1959年 大映
[監督]市川崑
[原作]大岡昇平
[脚本]和田夏十
[出演]船越英二 ミッキー・カーチス 月田昌也 杉田康 浜口喜博 滝沢修 山茶花究
戦争という極限状況の中で絶望と飢餓に対決する人間性の限界を描く市川崑の傑作。大岡昇平のフィリピン戦での実体験を基にした傑作小説の映画化。主演の船越英二は、飢餓状態の兵士を演じるために撮影前から断食して臨んだ。

硫黄島

©日活

放送日:8/4(水) 前7:45~ 他
1959年 日活
[監督]宇野重吉
[原作]菊村到
(文芸春秋新社刊)
[脚本]八住利雄
[出演]大坂志郎 小高雄二 芦川いづみ 山内明 芦田伸介 小沢栄太郎
菊村到原作、芥川賞受賞作「硫黄島」の同名映画化で八住利雄が脚色し、鬼才、宇野重吉が満々たる野心を持って「戦争と人間」のテーマに取り組む凄絶な異色戦争巨篇。宇野監督に適役は彼以外にないとまで言わしめた大坂志郎が熱演した他、小高雄二、芦川いづみといった青春スターをはじめ、多彩豪華な俳優陣が参加.

壁あつき部屋

©1956松竹株式会社

放送日:8/4(水) 前7:45~ 他
1956年 松竹
[監督]小林正樹
[脚本]安部公房
[出演]浜田寅彦 三島耕 信欣三 三井弘次 伊藤雄之助 小沢栄 岸惠子 小林トシ子
巣鴨拘置所に服役中のBC級戦犯の手記「壁あつき部屋」の映画化。戦争犠牲者の実際の手記を下地に作られた、社会派作品。戦犯の一人山下は、戦時中南方で上官浜田の命令で一人の土民を殺したのだが、その浜田の密告で重労働終身刑の判決を受けた。また横田は戦時中米俘虜収容所の通訳だっただけで巣鴨に入れられていた…。

暁の脱走

©1950 東宝

放送日:8/15(日) 前8:00~ 他
950年 新東宝
[監督・脚本]谷口千吉
[原作]田村泰次郎
[脚本]黒澤明
[出演]池部良 小沢栄 山口淑子 伊豆肇 若山セツコ 田中春男
谷口千吉監督が、田村泰次郎による人気小説「春婦伝」を黒澤明と共同で脚色してメガホンをとった戦後反戦映画の代表作。満洲映画協会のスター「李香蘭」として活躍していた山口淑子をはじめ、中国で捕虜になった谷口千吉、中国戦線に従軍していた池部良、田村泰次郎と、外地での体験を持つスタッフ・キャストの結集により、日本軍の非人道的な階級制度を激しく糾弾する野心作。「キネマ旬報」ベストテン第3位。

衛星劇場 https://www.eigeki.com/genre?next=1&category_id=2

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