防災テックベンチャーのスペクティ×浜松市、AIを活用した水害の被災状況を把握する実証実験(23.7.13)

防災テックベンチャーの(株)Spectee(東京・千代田区、村上建治郎 代表取締役)は、浜松市(中野祐介市長)と共同で、スペクティのAI技術を活用した水害の被害状況把握を迅速化する実証実験を行なった。本実証実験で得られた成果をもとに、スペクティでは『リアルタイム浸水推定図』のサービス精度を高め、自治体の災害復興対応に貢献していく。

■実証実験の背景と目的
これまで浸水状況の把握は、市役所職員による現地での目視確認によって行われてきたが、大規模水害時は、職員の人手不足や安全確保のため、網羅的な状況把握が難しいケースがある。また、現地調査は過去に浸水があった場所を中心に行うため、予期しない浸水箇所においては完全に把握することが困難な状況もある。
このような現状を受け、スペクティでは、スペクティが提供する『リアルタイム浸水推定図』(※1)を活用することで、迅速な被害状況の把握に役立てられ、災害発生時の職員の業務の効率化につながると考えている。

※1 リアルタイム浸水推定図とは
スペクティが提供するサービスで、SNSに投稿された画像や、河川・道路カメラ情報から浸水した場所や深さを自動的に割り出し、降水量、地形データ等と組み合わせて統合的に解析することで、氾濫発生から10分以内に浸水範囲と各地の浸水深を地図上に表示するもの。

■実証実験の内容
本実証実験では、浜松市が大きな被害を受けた2022年9月23日「台風15号」を対象に、スペクティが災害時に作成した『リアルタイム浸水推定図』と、浜松市が災害後の現地調査をもとに作成した浸水実績図とを比較、また実際の現地の地形や建物などの特徴がどのように結果に影響したか、実地調査をもとに検証した。

■検証結果
両者の結果が概ね一致しているエリアも見られた一方で、飛び地被害等の把握できていなかった、または一部の浸水箇所について、スペクティの浸水推定図では浸水した可能性があるところが分かった(図1)。

同行した浜松市の職員からは、「推定精度があがれば、被災者支援の漏れの防止や、初動対応の迅速化に活用できる」とのコメントが寄せられた。

(図1 浜松市の浸水実績図と「リアルタイム浸水推定図」の結果が概ね一致しているところもあった。)

■今後について
今後も実証実験やデータ検証などを重ねながら、『リアルタイム浸水推定図』の精度を高め、より正確かつ迅速な浸水推定図の提供を目指す。

■株式会社Specteeについて https://spectee.co.jp/
スペクティは、「危機を可視化する」をミッションに、SNSや気象データ、カーナビ情報や道路カメラなど様々なデータからの災害・リスク情報を解析し、被害状況の可視化や予測を行なっている。
国内トップシェアを誇るAIリアルタイム危機管理サービス『Spectee Pro』は、災害や事故等のリスク情報をいち早く配信するほか、SNSや河川・道路カメラ、カーナビ情報、人工衛星データなどをもとに、AIで被害のシミュレーションや予測など様々な角度から被害状況を”可視化”することで、自治体の災害対応や企業の危機管理、物流やサプライチェーンのリスク管理などを目的に導入が進んでいる。

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