神山充雅 氏 (株)愛媛CATV


仕事ほど面白いものはない
自分のやりたい仕事をみつけよう!
社員の皆さんとのコミュニケーション術を教えてください。

神山:私は昔から若い人ほど優秀だと思っています。特に今の若い人はクールにモノを見る目を持っているため、若い人には本音でモノを言わないと通じません。ですから、私はこの何十年もの間、必ず社員と一緒に食事をしています。食事をしているときこそ皆本音でモノを言いますし、その人の個性もよく分かります。
社員との会話を通して、今の若い人は自分のことより、地域のためとか公共的精神で尽くそうという気持ちが強いということを感じます。これはとても嬉しいことです。人のために力を注ぐという気持ちを持っているからこそ、当社の業務にもやり甲斐を感じて取り組んでくれているのでしょうね。

今後、日本のケーブル産業はどのようになっていくとお考えですか。

神山:ケーブルテレビはちょうど曲がり角に来ていると思います。自分の会社の力をどれくらい分析できるかが経営者として大事。自分の姿が見えないと、本当の経営はできないですよ。
もうひとつは、電力事業にしろ通信事業にしろ、しっかり大手と組んでいるところは生き延びていけると思います。ケーブルテレビ業界は産業規模としてはものすごく小さいですから、大手に対抗するのは厳しい。先ほども言いましたように組んでいくことが大切かなと。大手同士でさえ組む時代なんですから。
また、この1年、ケーブルテレビ業界の全国の広告獲得量を見ると落ちこんでいます。新聞もそうですが、その業界の広告収入が減り始めたら、その業界はダメになるんです。メディアとしての力が落ちているということを、スポンサーは敏感に感じて出稿しなくなっている。恐らく今年はもっと下がるでしょう。
ケーブルテレビ業界も非常に大事なところに差し掛かりましたね。メディア全体が大きな山場に来ていると思います。

次代を担う若い人たちにメッセージをお願いします。

神山:仕事ほど面白いものはない。だから仕事のやり甲斐を見つけること。その代わり、自分のやりたい仕事をやること、これは私がこれまでの人生で実感していることです。
そして儲けよりも“地域に尽くす”という気持ちを持ち続けてくださいということですね。儲けだけで考えたら、新規事業もサービスもできない。お客さんのためであれば、少々儲からないことでもやろうということになる。最後は総合情報産業としての力がどれくらいあるのかということですから。

photo by 桜田耕一


PROFILE 神山充雅 KOUYAMA MITSUMASA
1939年4月生まれ。1958年愛媛新聞社入社、77年同編集一部副部長、88年愛媛新聞CATV準備室長、89年(株)愛媛CATV設立 取締役就任、93年同社常務取締役、98年同社代表取締役専務、04年四国中央テレビ設立 取締役就任、08年(株)愛媛CATV 代表取締役社長就任、09年四国中央テレビ 代表取締役社長就任、15年(株)愛媛CATV 取締役会長就任(現職)、17年四国中央テレビ 代表取締役会長就任(現職)、18年愛媛県ユネスコ連絡協議会会長、松山ユネスコ協会会長。その他、95年から愛媛大学法文学部非常勤講師、18年10月総務大臣表彰受賞。