県も出資し、電力、鉄道、NTTと地域の基盤が全部揃ったわけですね。
神山:そうですね。それだけ身を入れてやっていましたので、大赤字で債務超過になって、監査報告で「正しくない」と明記されたことがとても堪えました。とはいえ、事業の提案者であり、現場の責任者である私としては、必死になってこの現状について取締役会、株主総会で説明しました。すると、誰も異論を唱える人もなく、逆に当時社長だった松下功は「神山の言う通り、合理的に仕事をするべきだ」と言ってくれて、なんとその場で私を代表取締役専務にしたんですよ。
ですから、私は日頃から“言いたいことは本音で言う”ということを信念にしているのですが、それは「本気になって頼んだら大抵の人は分かってくれる」ということがあるからなんです。
加入営業はどのように取り組まれたのでしょうか。
神山:今もそうですが、みんながよくやってくれています。地域をあげた事業に取り組んでいるということで、役員の皆さんをはじめ、開局当時は40数カ所ある新聞販売店がケーブルの加入営業に力を注いでくれました。
保育所から商店街での野菜販売まで、一見ケーブル事業とは関係ないものまで取り組まれていますね。
神山:たとえ儲からなくても取り組む事業も多いんです。なぜなら当社は“地域のため”の会社ですから。保育所も、松山の商店街のど真ん中に野菜を売ったりする店もつくりました。地元の人たちは喜んでくれましたが、これらは全部持ち出しです(笑)。でも利益は追求しません。73億の売り上げがあっても1億とか2億の利益が出たらいいほうで、儲けることは下手くそです(笑)。
儲け主義ではなく、地域のために損をしてでもやるということで初めて地域の皆さんの信頼を得ることができるわけですから。