ケーブルテレビの原点はギャザリング
若者には人生設計を立ててほしい
次に実施されようとしている新たな取り組みなどは。
髙橋:2018年5月、日野町(鳥取県日野郡日野町)で、私が社長を務めるサテライトコミュニケーションズネットワーク(SCN)が、コミチャンの制作・運営を全て請け負うことになりました。ここでは、東海大学の水島久光教授をメンバーに加え、ケーブルテレビ設立前と設立後で町がどれだけ変化したかを数値化しています。例えば、病院と福祉介護施設を連携させ、地域の遠隔医療にいかに貢献できるか、また中学の授業風景を撮影し、その映像を生徒が帰宅後オンデマンドで視聴できるシステムを作り、それらを有線と無線で活用する実験を行なっています。この実験結果をきちんと数値化し、ケーブル局がどの程度地域に貢献したかを評価していこうとしています。将来、全国に300以上ある自治体ケーブル局のコミチャンを支援していきたいと考えています。
ケーブルテレビに必要なこととは。そして次世代を担う若者たちへメッセージをお願いします。
髙橋:ケーブルテレビの原点はいかにギャザリングするか。番組制作も、さまざまな素材を集めることから始まるし、ビジネスも人的ネットワークとインフラネットワークの仕組みをしっかりと作ることから始まる。この枠組みができれば、あとは自然と情報もお金もどんどん集まってくる。ギャザリングの仕組みをいかにうまく作るかだと思います。
若い人たちには、人生設計をしっかり描いてほしい。ドラマでも報道でも番組を作るには、ストーリー作りが大切です。そのストーリーの中にいかに驚きや感動を織り交ぜていけるかが勝負。制作者なら、“人生設計をこうするんだ” “こうやって自己演出していくんだ”といったビジョンがなければいかん!是非とも自己演出力・人生設計をしっかりと持ち、人に感動を与える作品や番組、そして新たなビジネスにチャレンジして欲しいですね。
photo by 萱野雄一
PROFILE 髙橋孝之 TAKAHASHI KOSHI
1946年7月生まれ。68年米子フォト工房設立、80年(株)山陰ビデオシステム設立(現相談役)、84年(株)中海テレビ放送を設立し、常務取締役就任。93年(株)サテライトコミュニケーションズ西日本(現サテライトコミュニケーションズネットワーク)設立し、代表取締役就任、99年(株)中海テレビ放送 専務取締役、2011年同社代表取締役専務、15年同社取締役副会長に就任し、現在に至る。