OTTによるバブルの後遺症を懸念
自社IPをプロデューサー視点で利益の最大化を
今後どのようにして、この競争を勝ち抜く方針ですか。
滝山:アニメ産業のビジネス構造が今大きく変化しています。これまではテレビで放送し、そこからDVDやキャラクター商品の販売によって、制作費を回収するというビジネスモデルでした。しかし、DVDの販売も頭打ちで、アニメ制作会社も回収が難しくなってきています。また、OTT事業者によるアニメの制作費もバブル状態ですから、今後さまざまな弊害が出てくるでしょう。
今後生き抜くためには、視聴者ニーズを満たすUI、そしてプロデューサー視点によるコンテンツ制作だと思います。アニマックスとして自社IP(Intellectual property:知的財産)をこれまで通り制作し続け、かつ利益の最大化を図れる放送&配信のシステムをいかに構築できるかにかかっていると考えています。
最後に、若者たちに向けたメッセージをお願いします。
滝山:私が仕事上で大切にしていることは、“人の半歩先を行く”ことです。これから業界を担う人たちには是非とも、消費者とテクノロジーの変化と進化をウォッチし続け、スピード感をもって仕事に臨んでほしい。何よりも、想像力を働かせ、セオリーを無視し、新しいことにどんどんチャレンジしてほしいと思います。
photo by 越間有紀子
PROFILE 滝山雅夫 TAKIYAMA MASAO
1951年東京都出身。75年(株)フジクリエイティブコーポレーション(旧フジエイト)入社、98年(株)ソニー・ピクチャーズテレビジョン・ジャパン(現(株)ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント)入社。99年(株)アニマックスブロードキャスト・ジャパン代表取締役社長(現職)、07年(株)AXNジャパン代表取締役社長(現職)、08年(株)ミステリチャンネル代表取締役社長(現職)。17年(株)キッズステーション代表取締役社長(現職)、(株)AK Holdings代表取締役(現職)、現在、(株)ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント代表取締役も兼務。