No.3 最新5Gスマートフォン~劇的な進化を遂げたカメラ機能~

2021年6月号掲載

コロナ禍で外出機会が減り、スマートフォン(以下、スマホ)のカメラは出番がめっきり少なくなりましたが、それでも多くの方は機種変更の際にカメラ性能を比較検討しているのではないでしょうか。今年の最新スマホでは、カメラ性能がますます進化を遂げています。そこで今回は国内シェアの大きいサムスン、ソニー、シャープの最新ハイエンドにおけるカメラの進化をご紹介します。それぞれ異なる進化を遂げており、アフターコロナのお気に入りの1台が見つかるかもしれません。

望遠性能が強化
Galaxy S21 Ultra 5G(サムスン)

Galaxy S21 Ultra 5G(サムスン)

サムスンのハイエンド「S21シリーズ」は、本体サイズとスペックの異なる3機種が準備されており、誰でも手に取りやすく使い勝手の良い万能スマホと言えますが、なかでも最上位機種にあたるGalaxy S21 Ultra 5Gのカメラはシリーズの中でも別格です。望遠カメラが2つになり(S21シリーズの他機種では望遠カメラが1つのみ)、光学10倍ズームに対応したことで、離れた被写体も鮮明に撮影することができます。また、デジタルズームとの組み合わせによる最大100倍の「超解像度ズーム」も搭載。他のスマホではズームが追い付かないような場面も、Galaxy S21 Ultra 5Gならシャッターチャンスに変わります。(ドコモより今年4月発売)
αの技術ノウハウが結集
Xperia 1III(ソニー)

ソニーのXperia 1IIIは、プロスポーツの撮影でも利用可能な性能を目指した、本格的なカメラマシンです。同社のデジタル一眼レフカメラ「α(アルファ)」で培われた技術とノウハウが詰め込まれています。本機種でも望遠性能が強化されていますが、G a l a x y S21Ultra 5Gとはアプローチが異なり、スマートフォンで初めて可変式望遠レンズを搭載することによって、1つの望遠カメラが2つ分の働きをする仕組みになっています。自動でピントが合うオートフォーカス機能も強化され、動きの速い被写体も鮮明に撮影することができます。クリエイターだけでなく写真好きの方の心もくすぐる機種です。(ドコモ、au、ソフトバンクより今年6月以降順次発売予定)

デジタルカメラと遜色なし
AQUOS R6(シャープ)

AQUOS R6のカメラは、スマホながらデジタルカメラに近い見た目です。G a l a x yS21 Ultra 5GとXperia 1IIIは複数カメラ構成であるのに対し、AQUOS R6はシングルカメラ構成ですが、カメラの目に当たるイメージセンサーには、スマホ用の小型センサーではなくデジカメのような大型センサー(1インチ)を採用しています。これは現在のスマホでは最大級であり、前モデル(AQUOSR5)のおよそ5倍の大きさです。大きなセンサーを採用したことで、ソフトウェア処理とは異なる自然なボケ表現や、薄暗いシーンでの高精細な写真の撮影が可能になります。スマホにデジカメ並みの大型センサーを搭載することはレンズの性能や大きさの観点から一般的に簡単ではありませんが、シャープはドイツの老舗カメラメーカー「ライカカメラ」とのパートナーシップを通じて製品化を達成しました。(ドコモ、ソフトバンクより今年6月以降発売予定)
なお、スマホへの大型センサー搭載は、近年スマホシェアを世界的に伸ばしている中国のシャオミが今年3月に発表した最新ハイエンド「Xiaomi Mi11 Pro/Ultra」でも話題になりました。同機種に搭載の大型センサーはサムスン製のため、今後サムスンからも大型センサー搭載のハイエンドスマホが登場するかもしれません。

今回紹介した3機種は、それぞれ異なるアプローチでカメラ性能の向上を図っています。高精細な写真や動画はデータ容量が大きくなりますが、高いデータ処理能力と5Gによる高速通信が可能な最新ハイエンドスマホは、アフターコロナの旅行やイベントを鮮やかかつ手軽に記録する心強い味方になりそうです。
水上 貴博 MIZUKAMI TAKAHIRO
情報通信総合研究所 ICTリサーチ・コンサルティング部 主任研究員
血液型:B型 専門:モバイル、放送メディア 好きなスポーツ:ゴルフ、野球

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