(株)インターテック

ケーブルテレビの強みのひとつとして、地元密着が挙げられる。自治体などの地域情報を視聴者にダイレクトに届けることができる発信力は、ケーブルテレビならでは。その強さは、災害時など“情報が命”の時にさらに力を発揮する。ケーブルテレビ局向け放送システム会社、(株)インターテック(東京・中央区、齋藤武文代表取締役)の2つのソリューションは、Lアラートや自治体などの情報を自動で適時に届けることができる。正確な情報を加入者に届ける同社システムを紹介する。

01SPR-2000 メール受信で即座に情報発信 ポン出し機能追加で中継番組の尺調整

ケーブルテレビは、地域情報インフラの役割を担っている。今後ケーブルテレビはICTを活用した地域の活性化&DX実現に向けた役割が期待されている。その役割を担うためには、安定した放送・通信サービスの提供と地域情報の充実が大切。特に、コミュニティチャンネルの充実は、今後の成長で重要なファクターであることに疑いはない。テレビ離れが指摘される昨今だが、高齢者およびファミリー層での加入率が高いケーブルテレビにとって、テレビデバイスによる情報発信力強化は必須だ。
インターテックの緊急文字放送システム「SPR-2000」は、災害発生等の有事のときはもちろん、通常時から活用できるL字システム。

「SPR-2000」は、JアラートやLアラートの情報はもちろん、自治体等がメールで発信する地域情報を自動でL字画面上に文字情報を表示する。メール受信時に自動表示されるため、避難情報や物資の情報など、スタッフが文字入力することなく、正確に24時間情報を届けることができる。また、メールアドレスごとに優先順位を設定でき、緊急メール(優先度の高い)を受信した時には自動的に切替えが行われるほか、送出したくないワードの登録機能が備わっており、事前設定しておけば、送信NGワードの表示を未然に防ぐこともできる。

「SPR-2000」は、キーワードでテンプレートの自動切り替えが可能。避難情報等緊急を有する場合は視認性の高い赤などのビビッドな色で、支援物資等の情報では落ち着いた色合いのテンプレートで表示できる。また、静止画やショート動画の送信も行えるほか、テキスト情報を音声で読み上げる機能もあり、注目してもらえる工夫が随所にちりばめられている。

「SPR-2000」は、オプションのFTPアクセスにてファイルを共有し、平時利用もイベント情報や地域ニュース、天気予報などもほぼ自動で送出可能。情報提供会社と契約すれば、気象情報もJPGファイルで取得して送出できるほか、自治体のHPにある画像等も取り込み、送出できる。「SPR-2000」はこれまで標準1入力1出力(ONAIR)だったが、オプションソフトを追加することで、2入力2出力対応となり2チャンネル並列で運用が可能になった。

そして今年、「ポン出し機能」が新たに加わった。インターテックでは、ポン出しシステム「ポン出しくん」を販売していたが、その機能を「SPR-2000」に搭載した。“ポン出し”とは、手動で番組中に効果音や映像などを加えること。「ポン出しくん」は、ファイルサーバーに保存されたクリップを手動操作で番組中や番組後に送出する。なお、「ポン出しくん」は、さまざまなファイルフォーマットを対応するためにオートトランスコーダーを搭載している。

今回、「ポン出し」ソフトウエアを搭載することで、CMや生中継開始前や開始後などでクリップを送出することが可能になる。ポン出し操作は、インターネット経由から汎用PCやタブレットでリモート操作ができるため、高校野球や議会の生中継が予定より早く終わった場合など、現場で操作が可能。なお、GUIにプレビュー機能が搭載されているため、映像内容を確認したのちに安心して送出できる。「クリップ出しをし、予定していた終了時間まで動画や静止画を送出し続けることができます。また、中継開始時間が遅れた場合もクリップ送出時間の延長が行えるため、臨機応変な対応が行えます。主要な動画ファイル形式なら取り込み可能で、読み込んだファイルは自動変換され、安定した送出が可能。クリップもグループ化や送信順に整理できます」と齋藤社長は語る。高校野球の地方予選大会やお祭り、議会中継など、日ごろから生中継番組が多いケーブル局にとって、魅力ある機能が追加されたと言える。「SPR-2000」は、緊急時だけでなく、平時でも第2コミュニティチャンネルで文字放送として運用できる。自治体情報や農産物・畜産、漁業などの主要産業の情報などもWebサイト等外部情報との連携機能で提供できる。平時から慣れ親しんでもらえるメディアであれば、緊急時にも真っ先に接触してもらいやすくなるだろう。

「SPR-2000」システム
(画像左)平常時からさまざまな情報提供から可能 (画像右)「ポンだし」ソフトウエアを搭載。リモートで操作可能

02LCT-1000 IPカメラ映像や外部情報と連携 河川の様子をさまざまな情報で発信

毎年、全国各地で大雨等による甚大な水害が発生している。政府広報オンラインによると、全国1,741市区町村(令和元年末)のうち、平成23年~令和2年までの10年間に一度も河川の氾濫などによる水害が起きていないのは、わずか56市区町村(3.2%)。残りの1,685市区町村(96.8%)では、10年間に1回以上の水害が起き、さらに半数以上の794市区町村(45.6%)で10年間に10回以上の水害が発生している。国土交通省発表によると、令和4年の水害被害額は全国で6,100億円、令和5年度は約6,800億円にも達する。地球温暖化に伴う気候変動の影響により、今後さらに大雨や短時間強雨の発生頻度や降水量などが増大することが予測され、大規模な水災害が発生する懸念が高まっている。ちなみに、時間雨量50㎜を超える短時間強雨の発生数は、約40年前と比較すると1.5倍まで増加している。

全国各地で甚大な被害が多発し続ける現在、河川監視カメラ映像は国土交通省&各整備局等のHPやYouTubeで視聴できる。しかし、緊迫した状況下でWeb検索し、映像を視聴するのでは手間がかかる。また、スマートフォンでは画面が小さく、詳細は分かりづらい。

インターテックの情報カメラユニット「LCT-1000」は、ネットワークカメラを多用な構成で送出するシステム。複数の情報カメラを1台のターンキーで送出できる。自社および協力関係にある自治体が設置したIPカメラ映像を取り込んで放送する。なお、取り込むIPカメラ台数に上限はない。

「LCT-1000 」は、IPカメラ映像だけでなく、国土交通省のHPサイト「川の防災情報」の映像やYouTube等の映像も取り込み表示することができる(許諾が必要)。これにより、自社設備の負担を軽減できる。また、映像だけではなく、テンプレート上での工夫や外部情報との連携により、さまざまな情報やデータを“視聴者目線で分かりやすく”放送できるのが「LCT-1000」の魅力のひとつ。例えば、地図を描いた画面テンプレート上に河川映像を表示させることで、どこの場所かを一目で分かるようにしたり、「川の防災情報」にて提供されている水位のグラフを映像とともに表示したり、天気予報の提供も可能だ。これにより、どの程度まで水位が迫っているかや天気予測が一目瞭然。状況を的確に把握し、避難指示などの警報も我がこととして受け止めてもらえるようになるだろう。また、複数枚のテンプレートを用意すれば、IPカメラ映像などをつぎつぎと送出することができるほか、通常グループ・緊急グループを設定することで、大雨や台風等の緊急情報ごとにグループ化し、画面を切り替えることも可能。もちろん、河川監視だけでなく、街に設置されている定点IPカメラの映像の放送も行える。また、静止画やショート動画のパスを設定すれば、文字放送や動画CMを送出できる。日頃からの交通情報や冬場での積雪状況の把握にもつながり、CM収入も期待できる。何よりも通年接触してもらえる。2出力も行えるため、メインとサブの運営にて、工夫次第でさまざまな情報提供が行えるのも魅力だ。

インターテックは、ケーブルテレビに特化したソリューションが充実。各局のニーズに合わせたカスタマイズにも対応しており、ケーブルテレビの情報発信を強力にバックアップする。今回紹介したシステム群のWeb上デモンストレーションを実施中。問い合わせは、インターテックHP( https://www.inter-tec.co.jp/index.html )まで。

「LCT-1000」システム
テンプレートは自由に設定できる