(株)クリエイトジャパン
同軸ケーブルや通信機器のリサイクル・リユースでケーブルテレビ事業者の力となりたい!
社会においてSDGs(持続可能な開発目標)への対応が企業にも求められる中、環境分野でユニークな事業を展開するのが、(株)クリエイトジャパン(三重・菰野町、森崇裕社長)だ。産業廃棄物の処理を行うだけでなく、同軸ケーブルのリサイクルなどを手掛け、7月18日(木)より開催される「ケーブル技術ショー2024」の出展では、同軸ケーブルを粉砕し、銅、アルミ、樹脂にする技術を紹介する予定。さらに通信機器のリユースに注力することで、廃棄物排出量の削減に貢献する。
01年間1,500トンの同軸ケーブルを買い取り
“美しい地球を次世代へ”を合言葉に、再資源化事業(リサイクル)」・「再活用事業(リユース)」・「産業廃棄物処分業」・「産業廃棄物収集運搬業」を展開する(株)クリエイトジャパンが、ケーブルテレビ事業者の力となるべく、同軸ケーブルやアンプ、タップ、モデムなどの通信機器の買い取りを強化している。
昨年の実績で、年間1,500トン、直線距離にすると7,000キロ分の同軸ケーブルを買い取り、リサイクルしている。現在、取引のあるケーブルテレビ事業者は64社。三重県を拠点に、埼玉と九州・北海道に営業所と協力会社を置くことで、対応エリアを全国とする。同様の事業を全国で展開する企業は、他にはないとのことだ。
同社の親会社は、CATV工事を中心に、電気・電気通信工事を手掛ける(株)日本総合施設(三重・四日市市、里中祐介社長)。通常、同軸ケーブル線の張り替え工事で発生する廃ケーブルは廃棄物としてお金を支払って処分していたが、処分を人任せにするのではなく、つくったモノには最後まで責任を持ちたいという想いから、2001年にクリエイトジャパンを立ち上げた。
同社では、「今後、無線化が進む情報通信の業界の中でも、ケーブルテレビ事業者様は地域のインフラを守り続けていくために必ず必要とされる。そんなケーブルテレビ事業者様のお役に立ち、育てていただいた恩を今こそ返す時だ」という想いで事業を展開しているという。
02リサイクル産業廃棄物を有価物にすることに成功
同軸ケーブルについては、廃棄する際には産業廃棄物としてお金を支払って処理するのが一般的だった。それは、通常リサイクルされている電力ケーブルと比べると圧倒的に銅の含有量が少なく、資源価値の高い銅が25%以下しか含まれていない。さらに、複雑な構造をしており、リサイクルするには手間がかかりすぎるということもあり、廃棄物として処分されていた。
そんな中でクリエイトジャパンでは、同軸ケーブルを破砕・分別処理するための機械を製作し、同軸ケーブルリサイクル専用の工場を建設した。そこから、改良を重ねて効率的にリサイクルできる技術とノウハウを確立。いわば、産業廃棄物を有価物に変えることに成功し、同軸ケーブルから抽出した銅・アルミ・樹脂をそれぞれ再資源化して非鉄業者等に供給しているという。
ケーブルテレビ業界では、データの大容量化や高速化に伴い光ファイバーへの切り替えが加速しているうえ、電柱にかかる負荷を減らそうと不要になったケーブルを撤去する動きもある。同軸ケーブルの撤去量は急増しているが、リサイクルをすることで、ケーブルテレビ事業者は、撤去した同軸ケーブルを、お金を支払って処分する必要はなくなるどころか、販売益を得ることができるというわけだ。
03リユースケーブルテレビ業界のおかれた環境を背景にリユースに注力
クリエイトジャパンがさらに力を入れていきたいのは、ケーブルテレビで使用する通信機器のリユース事業だ。対象商品としては、アンプ、タップ、PS(パワーサプライ)、モデム、STBなどがある。
代表的なのは、同軸ケーブルの周波数信号を増幅させるアンプで、ケーブルテレビ業界において光ファイバーが主流となった今では、同軸ケーブルで使用していたアンプの生産はほぼ終了している。しかし、まだ同軸ケーブルを使っている事業者も少なくなく、故障・不具合があっても交換する製品がないという状況だった。同社では、もともとアンプも同軸ケーブルと一緒に回収し、アルミの原料としてリサイクルしていたが、ケーブルテレビ事業者が困っていることを知り、製品として再流通させることにした。
現在は回収したアンプなどを自社で検査・保管し、中古品としてリース販売している。機器の在庫は約2,000台で、在庫リストにないものでも、取引のある事業者とのつながりを生かし、確認して探すことも可能だという。
04目標は全国にある全てのケーブルテレビ事業者と接点を持つこと
同軸ケーブルのリサイクル・通信機器のリユースの領域において、先導的な役割を果たすクリエイトジャパンだが、同事業の存在とその意義をさらに知ってもらうために、積極的な営業活動も進める。
営業スタッフは、ケーブルテレビ事業者からの依頼、相談があれば全国どこにでも出向くとともに、要望に対してスピーディかつ的確に対応できるよう、技術スタッフとのミーティングを欠かさず行い、リサイクル技術や知識を徹底的に身につけるよう努めているという。
現在、事業者からの相談・問い合わせなどは主に電話やメールなどで受け付けているが、今後はウェブサイト上で、例えば在庫一覧を確認できるようにするなど、サービスの向上にも取り組むとのこと。
同社では、当面の目標として、「1秒でも早く全国にある全てのケーブルテレビ事業者様に知っていただくこと」を挙げる。さらに、「同軸ケーブルや通信機器のリサイクル・リユースといえばクリエイトジャパン」と言ってもらえることを目指すとしている。