BSJapanext(ビーエスジャパネクスト)
BS放送にて無料と有料のハイブリッド運営で相乗効果を狙う
2022年3月に開局した無料BS放送「BSJapanext(ビーエスジャパネクスト)」((株)ジャパネットブロードキャスティング、東京・中央区、佐藤崇充社長執行役員)。その「BSJapanext」は、自社制作にこだわり、世の中にある素晴らしいモノ・情報・エンターテインメントを厳選し、磨き上げて放送することをポリシーとしている。同社は、24年4月、1986年設立の老舗映画チャンネル「スターチャンネル」の全株式を取得した。ここでは、同社社長執行役員の佐藤崇充氏にインタビューし、事業戦略を伺った。
佐藤崇充 氏 (株)ジャパネットブロードキャスティング 社長執行役員
01「見つけて、磨いて、伝える」尖ったコンテンツと編成方針で認知UP
── 開局から3年目となりますが、BS進出を果たした理由は。
佐藤:最近、「テレビに元気がない」と言われることがありますが、通信販売事業者である私たちからすると、そのようなことは全くなく、地上波、衛星放送のメディアパワーを日々感じています。無料BS放送のレスポンスもとても良く、可能性を感じていました。
ジャパネットグループは、「見つけて、磨いて、伝える」ことを大切にしており、私たちの強みでもあります。この強みを情報発信分野でも活かすことができれば、ジャパネットならではの面白いチャンネルができると判断しました。
── 開局から今日までのコンテンツ制作への取り組みは。
佐藤:「見つけて、磨いて、伝える」ことにこだわり、自社制作番組をお届けすることを心掛けています。おそらく、オリジナル番組比率は、他社と比較しても圧倒的に高く、事実、社員数111名(※スターチャンネル運営含む(2024/6/5時点))の多くは、ディレクター職であり、制作会社やテレビ局等で実績を積んだメンバーが日々番組制作を行なっています。
番組制作とともに注力してきたのが、認知向上です。「BSJapanext」はCh.263と、NHK BSや民放系BS放送とチャンネル番号が離れており、ザッピングでたどり着くことが難しい環境にあります。能動的に視聴いただくため、尖ったコンテンツや編成にこだわりました。まず、「PGAツアー」をはじめとしたゴルフ番組を、毎日(月~日)21時帯に編成しています。おかげさまで、ゴルフファンに浸透し、ゴルフ関連の展示会時の自社調査では60%台まで認知が上がり、視聴率も上昇中です。
もうひとつ大切にしていることが、リアリティの追求です。旅番組などの地域をめぐる番組では、紹介したモノやサービスを番組後半に販売しており、情報をお届けする際の演出を極力控え、ブレることなくその場の空気感をお伝えすることに注力しています。例えば、クルーズ船の旅を紹介する『あこがれの世界クルーズ紀行』。ジャパネットが提供するクルーズ船の旅を紹介するとともにそのツアーや訪れた町の名産品などを販売しています。リアリティを追求することで、旅行も商品も輝きを増し、結果、多数の番組をご覧いただき、クルーズ旅行を申し込む方がいらっしゃいます。BS放送局としてのメディアパワーはまだまだですが、2年間の取り組みには手ごたえを感じています。
── 強化されているジャンルは。
佐藤:昨年から麻雀「Mリーグ」にチームとして参戦しており、麻雀番組の強化を進めています。無料BS放送で麻雀番組と対局番組を放送しているのは、「BSJapanext」のみであり、非常に視聴率が良い番組になりました。コアなファンに刺さる尖った番組の制作を通じ、それらのファン層へもリーチし始めています。
今後も、年齢層に関係なく、ファンマーケティングを大切にし、さまざまなジャンルのファンに愛される尖った番組制作を心掛けていきます。具体的には、スポーツジャンルを強化していく方針です。現在もゴルフはもちろん、プロ野球などのスポーツ中継も行なっていますが、ジャパネットグループには長崎初のプロバスケットボールクラブ「長崎ヴェルカ」、Jリーグ「V・ファーレン長崎」という仲間がいるので、試合中継や応援番組などをより強化し、各クラブのファンはもちろん、バスケ&サッカーファンが集うチャンネルにしていきたいと思っています。
02スマホアプリ活用のリクエストアワー ケーブル局とのコラボで市場拡大へ
── このほど、(株)スター・チャンネルの全株式を取得し、映画プレミアムチャンネル「スターチャンネル」の運営を開始しました。その狙いは。
佐藤:有料放送市場は減少傾向にありますが、私たちが大切にしている「見つけて、磨いて、伝える」という強みを活かすことで、まだまだ伸びる可能性があると判断したからです。
放送で映画を楽しむ人たちは、比較的高齢者が多く、通信販売のコア利用者層とマッチしており、「BSJapanext」はもちろん、年複数回発行するジャパネットたかたの会員向け無料カタログ冊子等にて告知していけば、まだまだ市場開拓が可能です。
もちろん、「スターチャンネル」の魅力をもっと高めていかなければなりません。従来通り、メジャー作品や名作の放送は当然として、視聴者が本当に見たいコンテンツを放送していきたいと考えています。
「BSJapanext」では、韓流コンテンツを多数放送中ですが、その編成時、無料公式アプリ「つながるジャパネット」を活用した視聴者リクエストを行なっています。アプリで見たいコンテンツのリクエストを募り、そのデータをもとに編成するもので、視聴者から「私たちの本当に見たい番組を放送してくれるチャンネル」との評価をいただいています。「スターチャンネル」でも「リクエストアワー」などの企画を実施し、決まった曜日・時間帯に来ていただければ、見たい番組が見られる環境を構築したいと思っています。
現在のアプリユーザーは160万ほどであり、投票以外でも各番組内でコメントを募集し、そのコメントを放送画面に表示しています。Mリーグ中継では平均1,300件ほど、プロ野球中継では最大で6,700件ほどのコメントが届くこともあります。 さまざまな企画を実施し、無料放送と有料放送のハイブリッド運営にて、今までにないメディアバリューを創造していきたいと考えています。
── 今後の加入施策は。
佐藤:未開拓であるケーブルテレビ局への導入を進めていきます。開局から3年が経過しますが、私たちのPR不足もあり、まだ24時間の通販チャンネルと認知されています。今回、「スターチャンネル」と一緒になったことで、ケーブル局へのPR強化が図られました。まずは、クイズ番組『アタック25 Next』、PGAツアー、プロ野球中継、Mリーグ、旅番組などのオリジナルコンテンツ、そして韓流や国内ドラマと、「BSJapanext」の魅力を丁寧に紹介し、導入を進めていきたいと思います。他にも「BSJapanext」での映画放送時には、放送後に解説番組を設け、そこで映画の魅力を伝えるとともに、「スターチャンネル」への加入誘導を進める計画です。また、地域をよく知るケーブル局と旅番組などでのコラボも実現できるかもしれません。現在メンバーでさまざまなアイデアを積み重ねていますので、ケーブル局の皆様にはぜひ空き帯域のご協力をいただき、「BSJapanext」をキャリーしていただけると大変嬉しいです。
ジャパネットグループの強みを活かし、ケーブル局への加入促進&ARPU向上を進めていきたいと考えています。
── 今後の方針は。
佐藤:動画配信の普及もあり、放送業界に元気がないと言われることもありますが、私たちとしてはその雰囲気を覆したいと本気で思っています。歴史が浅い私たちではありますが、新しい風として元気を与える存在になりたい。視聴者はもちろん、BS放送を、そして有料放送市場を元気にしたいと思います。
無料公式スマホアプリ「つながるジャパネット」
番組を無料視聴できるほかアーカイブ作品も配信(一部番組を除く)。番組へのコメント投稿や投票・応募に加えて、番組内で紹介された商品の購入、ジャパネットたかたのショッピングアプリとしても利用できる