J SPORTS VRがライブ配信機能対応へ 一歩進んだ新機能も検討中(前編)

スポーツテレビ局「J SPORTS」((株)ジェイ・スポーツ、東京・江東区、木下伸社長)は4月28日に、オリジナルVRアプリ「J SPORTS VR」をiOS/Android端末向けにリリース。今後はJ SPORTS VR内でのライブ配信やVRバーチャル空間内での新たなコミュニケーション機能の追加などを予定・検討しているという。J SPORTS VRの進化への取り組みを前・後編にわけて紹介する。

J SPORTSでVRコンテンツ開発を担当するマーケティング部 WEBチーム チームリーダーの中村利絵氏(写真中央)と、「J SPORTS VR」の開発を手掛ける(株)VRize 代表取締役の正田英之氏(右)、COO事業推進責任者の中村拓哉氏(左)

VR360度動画視聴モードと、大画面2D映像視聴のシアターモードを用意

J SPORTSは今年7月に開局20周年を迎えるのにあわせ、新たな挑戦としてJ SPORTS VRを提供開始した。

開発を担当したのは、VRアプリ開発や収益化支援、VRコンテンツ向けCMSなど手掛けるスタートアップ企業(株)VRize(東京・港区、正田英之代表取締役)。同社はKDDIの事業共創プラットフォーム「KDDI∞Labo」の第11期で採用されており、VRアプリの提供を模索していたJ SPORTSは、親会社の(株)ジュピターテレコムの資本関係からVRizeを紹介されたそうだ。

J SPORTS VRは、モバイル端末とVRゴーグルを組み合わせることで、J SPORTSの提供するVRコンテンツを楽しめるようになるアプリ。現在はプロ野球・中日ドラゴンズの練習風景や、ラグビー・サンウルブズのトレーニング風景などの360度VRコンテンツを視聴することができる。
また150インチ相当の大画面で2D映像を視聴できるVRバーチャル空間のシアターモードも用意。この機能を利用すればスマートフォンでも大画面映像を楽しむことができる。

≪下に続く≫

「J SPORTS VR」のバーチャル空間(イメージ)。この中で150インチ相当の2D映像を視聴できる



ライブ映像配信機能を近日中に追加

J SPORTSでは現在同社社員2名が中心となってVRプロジェクトを動かしており、コンテンツ企画や撮影等も担当。その1人である中村利絵氏(ジェイ・スポーツ マーケティング部 WEBチーム チームリーダー)はスポーツVRコンテンツ制作について、「撮影そのものは簡単で、現在はKodak 4K VR360で撮影しています。ただし、スポーツチーム等の権利元に許諾をとるのは大変です。VRらしい映像を撮影しようとすると、選手にカメラを着けていただくなどした上で、わざわざ撮影のための時間を設ける必要があり、そうするとその分チームの練習時間等が減ってしまう可能性があります。また360度すべてが映ってしまうので、戦略ボードなどチームが秘密にしておきたいことも映ってしまうかもしれない。そうしたことにご理解いただいた上で撮影を承諾いただかなければなりません」と、スポーツならではの難しさを語る。スタジアム等の客席にVRカメラを置いて撮影すればよいのではと考えてしまうが、それでは選手やフィールドとの距離が遠く、VRらしい迫力ある体験は得られないという。

そうした苦労はあるものの、J SPORTSでは今後徐々にスポーツVRコンテンツを拡充していく考え。「野球や空手、モータースポーツの車内などのVR映像を撮影したいと考えています。また、これはおそらく難しいでしょうが、個人的にはスキージャンプの選手目線のVR映像や、エアレースのVR映像なども面白いと思う」(中村利絵氏)。

J SPORTS VRでは近日中にはアップデートを行い、サムスンのVRゴーグル「Gear VR」への対応や、ライブ配信機能を追加する予定。ライブ配信機能は、シアターモードで2Dライブ映像の配信と360度映像の配信の両方を検討していくとのことだ。

後編では、J SPORTS VRで検討中の新機能などを紹介する。

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