AI開発のスペースデータ社、シードラウンドで総額14.2億円の資金調達を実施(22.8.3)
「テクノロジーで新しい宇宙を作る」をビジョンに掲げる(株)スペースデータ(東京・新宿区、佐藤航陽代表)は、シードラウンドとして複数の投資家から総額14.2億円の資金調達を完了したことを発表した。外部からの増資による資金調達は今回が初めて。
本ラウンドの投資家としては、Spiral Capital、宇宙フロンティアファンド(運用者:スパークス・イノベーション・フォー・フューチャー(株))、KDDI Open Innovation Fund3号、GREE Ventures、平尾丈氏、富島寛氏、THE CREATIVE FUND、Headline Asia、前澤友作氏、MZ Web3ファンドが参加している。
衛星データから地球のデジタルツインを自動生成するAI技術
スペースデータは、衛星データと3DCG技術を活用してバーチャル空間に現実そっくりの仮想世界を自動生成するAIを開発している。人工衛星から取得した地上の静止画像と標高データに機械学習を行い、地上の構造物を自動で検出・分類・構造化した上で、AIに地上の3Dモデルを自動生成させ、3DCG技術によって石・鉄・植物・ガラスなどの細かな材質も自動的に再現。これらを一つのシステムとして統合することで実現している。
※AIが自動生成したバーチャルニューヨーク
従来の3D地球儀は衛星写真や航空写真を3Dモデルに貼り付けた形で供されることが一般的だったが、俯瞰的な視点での地上を再現するには向く一方で、人間が歩く一人称視点では写真の解像度が足りず劣化してしまい、VR・ゲーム・映像制作・自動運転など高度なビジュアルが求められる領域では活用が進んでいなかった。
今回開発したAIアルゴリズムは、従来の3D地球儀が苦手とする人間視点(一人称視点)での3Dモデルを自動生成することを得意とし、近い距離でも景観が劣化しにくいためVRやゲームや映像制作といった三次元空間を人間の視点で動き回るような用途にも活用しやすい利点がある。
衛星データに機械学習をかけて地上の構造物の意味(物体の種類・形状・色・材質・高さ・広さ・役割など)をシステムに理解させた上で3Dモデルとして再変換をかけているため、物体に近づいても景観を劣化させずに表現することが可能だ(特許出願済み)。
※AIが自動生成したバーチャル新宿
メタバースから都市開発まで様々な分野へ応用
メタバースやデジタルツインといった3D仮想空間技術はまだ黎明期であり、VRやゲームなどの消費者向け需要から、都市開発や自動運転などの大企業の需要、防衛防災や宇宙開発などの国家の需要まで、多種多様な領域への応用が期待されている。
今回調達した資金によって、世界中で急拡大するメタバースやデジタルツインの需要に対応して、様々なソリューションを企業や行政向けに提供していく予定。最終的には交通量・人通り・昼夜・四季・気温・植物分布・夜間光量など現実世界のあらゆるデータを取り込んで、限りなくリアルタイムの現実に近い「並行世界」をコンピューター上に再現するAIに進化させていく。
オープンソースコミュニティのような分散型組織
スペースデータでは物理的なオフィスを構えず、一度もリアルで会ったことがない(顔も見たことがない)メンバー同士が、オンラインのみに集まって開発する分散型組織として活動を行なっている。フルコミットの正社員は一人もおらず、副業やフリーランスが各自空いている時間を活用しながら、オンラインのみで1つのシステムを開発している。従来型の会社組織の真逆のアプローチを採用し、未来の組織のロールモデルとして今後も分散型組織のまま拡大を目指す。
(株)スペースデータについて
スペースデータは、①衛星データ、②AI技術、③3DCG技術の三つの技術を軸に研究開発を行う宇宙関連スタートアップ。宇宙とは一般的には未知の物理的な空間だと考えられているが、同社では宇宙とはテクノロジーを活用して「作り出す対象」であると捉えている。宇宙の本質は物質ではなく情報(データ)であるという仮説のもと、「テクノロジーで新しい宇宙を作る」ことをビジョンに掲げている。
会社概要
・社名:株式会社スペースデータ
・代表:佐藤 航陽:https://twitter.com/ka2aki86
・住所:東京都新宿区西新宿6-15-1 セントラールパークタワー10F
・目的:宇宙開発に関わる投資と研究
・URL:https://spacedata.ai/