日本経済新聞と読売新聞、「広告審査データベース」を共同開発(21.10.14)
(株)日本経済新聞社(東京・千代田区、長谷部剛社長)と(株)読売新聞東京本社(東京・
千代田区、山口寿一社長)は、新聞をはじめとする紙媒体広告や企業・団体からの情報発信などにあたって、不適切な用語や留意すべき表現をチェックする「広告審査データベース」を共同開発している。経済分野に強い日本経済新聞と生活関連分野に強い読売新聞が、広告審査業務で長年培ってきた知見を掛け合わせて生かす取り組みで、両社は業務DXの一環としてまずは自社での審査実務での活用からスタートさせる。
本データベースは法令違反表記、業界規約違反表記、不適切もしくは留意すべき表現などの広告審査上のチェックワードや、同音異義語、誤用・誤表記など間違えやすい用語を両社の広告審査担当者の経験に基づき取り集め、その表現に対する解説を収録するもの。収録ワードと解説コメントには誤解や不快などを避けるための示唆も幅広く含む。全般に共通するデータベースのほか、不動産、食品、化粧品、旅行などの業種や商品の別による法規や業界ルールに対応できるよう、数種類のデータベースを用意する。広告審査担当者は解説コメントをガイド役にすることで業務効率を上げることが可能になる。
両社は本データベースを日経・インテッククラウドサービス有限責任事業組合(※1)が運営しているクラウドサービス「広告審査支援サービス」に提供し、実装したシステムを利用して広告審査での業務効率化を進めていく。両社で利用実績を積み上げた後、新聞広告原稿(※2)などを対象に各社の審査業務のサポートに活用。本データベースを実装するシステムは現在開発中で、年内の稼働を予定している。
今後、新聞はじめ紙媒体の広告審査業務のサポートに加え、企業・団体から発信されるオウンドメディアなどの情報に対しても、リスクのある表記や誤用・誤表記等をテキストデータ段階でチェックできるようにしていく考え。データベースのアップデートを両社により継続し、拡充を図っていく。
日本経済新聞社 専務取締役メディアビジネス統括 平田 喜裕氏 のコメント
不用意な表現により思わぬレピュテーションリスクを招くなど、社会のデジタル化に伴い、情報発信に用いる表現に神経を使う必要が年々高まっています。今回の取組みは、新聞広告についてこの課題をDXで回避しようというものですが、企業の様々な情報発信にも応用可能だと考えております。安心できる企業広報の一助になれるよう開発を続けてまいります。
読売新聞東京本社 常務取締役広告局長 安部 順一氏 のコメント
新聞広告の審査では、校閲スキルに加えて、様々な法律や業界ガイドラインに関する深い知識が求められます。審査のスペシャリストが培ってきた知識やノウハウを広く活用できるよう、一般紙の読売と経済紙の日経がタッグを組んでデータベース化しました。広告審査だけでなく、自治体や企業など情報発信者のリスク管理にも貢献できると考えている。
※1 日経・インテッククラウドサービス有限責任事業組合(NICS)の概要
設立:2014年2月
所在:千代田区大手町1-3-7日本経済新聞社内
出資:株式会社日本経済新聞社、株式会社インテック
業務:新聞社や広告会社、製版会社、制作会社などの生産性向上とテレワーク化を推進するクラウドサービスを企画・運営。
※2「新聞広告デジタル制作ガイド」(N-PDF)では、新聞社に入稿される原稿は文字を画像化して入稿することとしている。本システムでは、入稿原稿からテキストデータを取り出した上で、データベース収録のチェックワードとの照合を行う。