カウンターポイント社、米国スマートフォン市場の最新調査を発表(21.8.11)
香港に本社を置く調査会社、カウンターポイント・テクノロジー・マーケット・リサーチ (英文名: Counterpoint Technology Market Research 以下、カウンターポイント社)は、米国市場にて5Gへの買い替えキャンペーンと5Gスマートフォンの大幅値引きをキャリア各社が継続した結果、米国のスマートフォン市場は2021年上半期に前年同期比で27%成長したという調査結果を含むNorth America Online-Offline Channel Share Tracker Q2 2021サービスによる最新調査を発表した。
調査によれば、AppleとSamsungは高級機セグメントでのベストセラー端末で、前年同期比でAppleは53%、Samsungは17%成長。また、OnePlus、Motorola、Nokia HMDは、LGがスマートフォン事業から撤退した穴を埋める形で大きく成長した。
米国スマートフォン市場2021年上期 メーカー別・前年同期比
カウンターポイント社米国担当リサーチディレクターJeff Fieldhack氏は次の通り述べた。
「これまでのところ、2021年はメーカー各社にとって難しい年になっている。LGとVinSmartが事業撤退したことで市場の集約が進んだこと、キャリア各社から値ごろな5G端末をもっと増やして欲しいと要求があったこと、そして、世界的な部品不足が生産の足かせになっている。しかし、これが市場シェア拡大を狙うメーカーにとっては大きなチャンスでもある。OnePlus、Motorola、Nokia HMDなどは、うまくこの流れに乗っているようだ。部品の供給は、Android端末を手掛けるメーカーの多くにとって厳しい状況になっており、特に600米ドル(約6.6万円)を切る機種において顕著である。我々は、Samsungは、需要に見合う部品在庫があったなら業績はもっと良かったかもしれないとみている。同社のA32 5GはT-mobileの「みんなに5Gを」キャンペーンで大ヒットした。しかし、供給の問題によるのか、デザインなのか、T-Mobileは5G乗り換え用に大量に扱う機種をOnePlus N200に変更してしまった。この機種は、現在のところ、市場で手に入る最も値ごろな5G端末のひとつである。こうした大口の需要のおかげでOnePlusはインストールベースを増やし、LGが抜けた空白をいち早く獲得することができた」
また、同社シニアリサーチアナリストMaurice Klaehne氏は、「OnePlusは、前年同期比で428%の成長と、2021年上半期に最も速く成長したメーカーとなった。一月に発売したN100とN10 5Gによって、OnePlusはMetro by T-Mobileの回線でのシェアを素早く伸ばした。加えて、最新機種OnePlus 9や9 Proによって、T-Mobile陣営での高級機のプレゼンスも高めた。さらに、第2四半期には、LGが撤退した市場でプレゼンスをさらに高めた。この時期、同社のN100は数か月に渡ってMetroでのベストセラー機種となったのである」とコメント。
2021年下半期や2022年の見通しについてFieldhack氏は、「スマートフォンの需要に関わる動きがいくつかある。まず、VerizonによるTracfone(プリペイドで契約不要のキャリア)の買収が完了すれば、何百万もの契約者がT-MobileやAT&TからVerizonのネットワークに切り替えなくてはならず、これには手ごろな値段の端末が必要になる。加えて、Verizon CDMAのサービス終了が2022年12月に決まり、今度は本当に終了になる。まだ先の話のように聞こえるが、実際に何百万人の契約者が切り替えるのには時間がかかる。これに加えて、T-MobileはSprintの3G CDMAサービスを2022年1月1日に終了する。つまり数百万人のT-Mobile契約者が新しい端末に替えなければならない。DISH(衛星放送事業を主にする通信会社。同社に売却されたプリペイド携帯事業が、SprintのCDMA回線を使用している)も大勢のCDMA契約者を、同社の新たなMVNOパートナーであるAT&Tのネットワークに切り替えてもらわないといけない」と述べている。
在庫状況に関して、同社シニアアナリストHanish Bhatia氏は、「世界的な部品不足で、米国市場の在庫も厳しい状態である。しかし、多くの端末メーカーは、他地域よりも米国市場を優先しているようだ。Samsungは、部品供給に関して、中位機種のAシリーズよりも、高級機種を優先することにした。Appleのサプライチェーンは、相変わらずこうした状況に強く、2021年上半期のほぼ全期間にわたって、在庫は健全なレベルであった。部品不足によって、端末メーカーはキャリアが求める特定機種の数量を満足させられなかったり、ある機種を優先するために他の機種を後回しにしたりということが起きている。これが続けば、今年下半期にも大きな制約となるだろう」と分析している。
【カウンターポイント社概要】
TMT(テクノロジー・メディア・通信)業界に特化した国際的な調査会社である。主要なテクノロジー企業や金融系の会社に、月報、個別プロジェクト、およびモバイルとハイテク市場についての詳細な分析を提供している。主なアナリストは業界のエキスパートで、平均13年以上の経験をハイテク業界で積んだ経験を持つ。
公式ウェブサイト: https://www.counterpointresearch.com/