WOWOW、16年度売上高は過去最高に 18年度にIPサイマル配信サービス開始を計画

営業利益・経常利益は上場後最高に

「WOWOW」((株)WOWOW、東京・港区、田中晃社長)は、5月16日にWOWOW本社で会見を開き、2016年度決算の詳細と、17年度~20年度の中期経営計画を発表した。

決算会見に登壇した田中晃・WOWOW社長

16年度決算における連結業績は以下の通り。※( )内は前年同期

▼売上高=782億5,300万円(+3.9%)▼営業利益=101億4,100万円(+11.7%)▼経常利益=102億8,200万円(+8.1%)▼親会社株主に帰属する純利益=6億8,000万円(+1.4%)

WOWOWの累計正味加入件数は17年3月末時点で282万3,185件となり、年度末としては過去最高に。「UEFA EURO 2016 サッカー欧州選手権」、氷室京介やBABYMETALのライブ番組などが加入をけん引し、11期連続での正味加入件数増を達成したものの、当初想定数は下回った。

売上高は、加入件数増とともに、連結子会社の(株)WOWOWコミュニケーションズにおける売上の増加により増収に。経常利益は広告宣伝費等の効果・効率的な費用効果などによって増益となり、増収増益を達成した。売上高は同社過去最高、営業利益・経常利益も上場以来最高の数字。1株当たり期末配当金は当初予想の60円から増配し80円となっている。

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WOWOWの2016年度の連結経営成績




18年度にサイマル配信、20年度に4K放送開始を計画

中期経営計画では「創造的な人々1人1人と繋がり、卓越したエンターテインメントが共創される場として進化する。そして、進化した場の活用によって、鮮新世と共感を両立するエンターテインメントの集積とその活用を促進し、継続的な成長の基盤を築く」を方針とし、重点戦略として「WOWOWらしさを貫いた徹底的なコンテンツの差別化」「マーケティング改革による顧客創造」「サービスの更なる高度化」「WOWOWグループとしての成長」の4点を挙げた。

この内「マーケティング改革による顧客創造」では、WOWOW非契約者を含む「WEB会員」を拡大し、新たなマーケティングの軸とする考え。その上で「ONE TO ONEコミュニケーションを実現し、お客様をロイヤルカスタマー化や契約継続へと導く」(田中社長)という。WEB会員は中期経営計画中に1,000万規模の会員数を目指す。

また「サービスの更なる高度化」では、18年度における放送とインターネットでのサイマル配信サービス開始を予定。田中社長は、すでに放送契約者向け配信サービス「WOWOWメンバーズオンデマンド」ではサイマル配信・見逃し配信あわせて放送番組の70%程度が配信されていると説明しつつ、「可能な限り100%対応を実現し、(サイマル配信で)ライフスタイルが多様化する中でもWOWOWを楽しんでもらえるような環境を整えていく」と意気込みを語った。さらに20年開始予定のBS左旋での4K実用放送や、アクトビラを活用したテレビデバイスでのインターネットサービスも準備を進めていく。

中期経営計画における加入件数計画は、20年度に300万加入が目標。連結収支計画では、20年度に売上高925億円を目標としている。経常利益は18年度に一旦65億円へと減益するが、これはサイマル配信やマーケティング改革、放送高度化へ向けた戦略的な投資のため。その後19年度に80億円、20年度に100億円と回復していく計画となっている。

中期計画におけるWOWOWの加入件数計画

中期経営計画におけるWOWOWの連結収支計画

17年度は増収減益を計画

17年度の加入目標は前期比+3万件の285万3,000件。連結収支計画は、売上高が(株)IMAGICA TVの連結子会社化などにより前期比+5.4%の825億円。経常利益はWEB会員獲得施策やネット運営費増加等で前期比-8.6%の94億円と、増収減益を予定している。営業利益は前期比-11.3%の90億円を計画している。

田中社長は会見の最後で「当社はシンプルな事業で、やるべきことは、生活者のニーズの変化に応えることと、社会に魅力的なコンテンツを提供すること。この2つしかない。ネットやいろいろなことも、基本的にはこの2つを満たすための手段。やるべきこと着実にやり、先送りしない年度としたい」と、17年度に向けた決意を述べていた。

※5月17日追記:17年度連結収支計画における、売上高および経常利益の前期比を修正しました。




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