高知県のIoPクラウドの利用農家数が1,000戸を突破(23.7.31)

高知県(濵田省司知事)は、2022年9月21日に本格稼働を開始した農業データ連携基盤IoPクラウド(SAWACHI)について、高知県内のユーザー数が1,000戸を突破したことを発表した。これを祝して、高知県庁でセレモニーを開催し、濵田知事が農家に登録証を授与した。

セレモニーには、1,000戸目のユーザーを含む同じ地域の農家(イチゴ農家4人、トマト農家2人)と、担当の県普及員及びJA指導員が出席した。出席した農家の代表者は、「イチゴ栽培においてはハウスの温度管理が最も重要ですが、SAWACHIを使えばスマートフォンでリアルタイムにデータを確認することができます。データの活用を通じて、高知の農業をさらに発展させていきたいと思っています」とコメントした。

高知県では今後も多くの農家にSAWACHIを活用してもらい、データに基づいて生産性を高めるデータ駆動型農業を広く普及していく。SAWACHIの効果を実感することが、「もっと楽しく、もっと楽に、もっと儲かる」農業の実現につながると考えている。

セレモニー当日の様子

【IoPクラウドSAWACHIの機能とその利用】
SAWACHIにスマートフォンやパソコンからログインすると、いつでもどこからでも、測定している温度などの圃場環境データを簡単に確認できる。測定する機器は、SAWACHIとの連携設定ができればメーカーや機種によらず対象となる。また、出荷量や気象など、営農に関連する他の様々な情報も一緒に確認することができる。

SAWACHIのトップ画面
SAWACHIで見られるデータ

※SAWACHIへの利用申請のほか、圃場環境、機器稼働状況、カメラ画像の閲覧には機器の導入とSAWACHIとの連携設定等が、出荷量の閲覧には県とJAへの申請が必要(詳細は後述)。

IoPプロジェクトは産学官連携での生産者支援の取り組みであり、これらのデータは生産者本人だけでなく、県の普及員やJAの指導員も営農支援に活用する。また、研究や製品開発にも活用し、より良い機器やサービスの創出を通じた生産者へのフィードバックにもつなげている。

・IoPクラウドを核としたデータの集約と産学官連携による生産者へのフィードバック

【SAWACHIを使うには】
SAWACHIの利用対象は、高知県で営農する生産者。利用申し込みにより、IDとパスワードが発行され、気象、市況、ニュース等を閲覧できるようになる。出荷量データは、県とJAに提供同意書を提出することで閲覧可能となる。これらは、各農業振興センターまたは各JAの支所等で受け付けている。
使用中機器の圃場環境データを閲覧できるようにするには、その機器とSAWACHIの両方で設定をする必要がある。機種ごとに方式や手続きが異なる(相談は高知県農業イノベーション推進課へ)。

SAWACHIを使うには

なお、SAWACHIは現在無料で利用可能(通信料は別途必要)。
今後、もし本サービスが有料になる場合は、高知県はその詳細をユーザーに事前に通知したうえで、継続利用についての同意を得るものとする。

【より良い機器やサービスの創出に向けて】
IoPプロジェクトでは、高知県や高知大学その他高等教育機関等から100名を超える研究者が参画して様々な課題に対する研究に取り組んでいる。一例として現在、AIによる園芸作物の生理・生態情報の可視化や、画像からの花数・実数の自動集計が、実証に協力している生産者の一部の圃場を対象としてSAWACHIに実装されている。

また、高知県は、IoPを支える人材の育成のため、令和4年8月にIoP技術者コミュニティを発足した。このコミュニティでは、SAWACHIを使ったクラウド連携、デバイス製作及びアプリ開発の基礎を学ぶ講座の開催や、SAWACHIに関する技術サポート、参加者交流を行なっている。
IoP技術者コミュニティについては、高知県ホームページを参照。

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