京セラなど3社、ローカル5Gを活用した自動走行及び4K映像伝送実験を実証(23.2.7)
(株)熊谷組(東京・新宿区、櫻野泰則社長)、京セラ(株)(京都・京都市、谷本秀夫社長)、日本電気(株)(東京・港区、森田隆之 社長兼CEO、以下、NEC)は、熊谷組技術研究所屋外実験ヤードにおいて、ローカル5G(第5世代移動通信)を利用した建設機械2台に対する自動走行と4Kカメラ映像伝送の実証実験を2022年11月に実施し、4K映像の送受信を確認したことを発表した。
1.目的
近年、調査、測量から設計、施工等すべての建設プロセスにおいてICTを活用する「i-Construction」に関する取り組みが進んでおり、災害補修時における二次災害予防のための無人化施工技術に注目が集まっている。無人化施工技術の高度化には、建設機械(以下、建機)への4Kカメラ搭載による映像の高品質化や、建機の傾きや振動等を検知するセンサによる現場情報のフィードバックが必要で、これらを実現するために、高速で低遅延な伝送を可能とする無線通信システムが求められている。
地域の企業や自治体などの様々な主体が個別ニーズに応じて構築可能なローカル5Gに注目し、屋外実験ヤードに構築されたローカル5Gシステムを用いて2022年6月に実証実験を実施した。屋外実験ヤード内での高い上り回線の伝送速度、低遅延性能を確認した結果を踏まえ、この度は2台の建機の自動走行の実証実験を同年11月に実施。実験中に建機上の4Kカメラ映像を、エンコーダを用いて伝送し、遠隔操作室にあるデコーダ側の出力映像の品質を確認した。
2.システム基本構成
技術研究所内の建物にNEC製ローカル5G基地局を設置し、アンテナを屋外実験ヤードに向けた。遠隔操作並びに自動走行が可能な建機上には受信電力情報をリアルタイムで取得できる京セラ製ローカル5G対応デバイス「K5G-C-100A」を設置しており(写真-1)、車載4Kカメラの映像をIP(インターネットプロトコル)ネットワークの上り回線を通じて高速なパケット伝送を行い、遠隔操作室内に設置されたディスプレイにデコーダ出力を80msecで表示することが可能となる(写真-2)。また、基本構成図は以下となる(図-1)。
3.実証実験の結果
移動する建機の位置を遠隔操作室内のディスプレイによって確認した(図-2)。加えて、「K5G-C-100A」で取得された受信信号とGPS情報を使い、屋外実験ヤード内を移動した時の受信電力特性を確認(図-3)。図-3の濃い青色ほど受信電力が高く、ヤード内では4Kカメラ映像を安定的に伝送できる電力値であることを確認しました。これらの位置情報と受信電力特性の情報を活用することで、屋外実験ヤード内の建機2台が往路と復路のルートに対して安全間隔を保ちながら自動走行が可能となった。
4.今後の展開
実際の建設現場における技術検証など、4Kカメラが搭載された建機の自動走行の高度化・実用化に向けて様々な実証実験を今後も行う。