JAXAベンチャー「天地人」の漏水リスク管理業務システムを青森市企業局水道部が採用(23.10.18)
JAXA認定の宇宙ベンチャー(株)天地人(東京・中央区、櫻庭康人 代表取締役)は、同社が提供する、宇宙ビッグデータを活用した水道管の漏水リスク管理業務システム「天地人コンパス 宇宙水道局」が、国内三番目の自治体として青森市企業局水道部に採用されたことを発表した。
日本が抱える水道インフラの社会課題
上水道の「水道管の老朽化」により、全国各地で大規模な漏水事故が相次いで発生しているが、国内には約140,000km(全体の19.1%)の管路が法定耐久年数を超えており、現状の手法では経年管の点検・維持・修繕を実施するには、多額の費用を要するうえに広域で、短期間で行うことは困難とされている。さらに、少子高齢化・人口減少により今後税収や職員数の減少が見込まれるため、問題は深刻さを増す一方だ。天地人は宇宙ビッグデータを活用し、これらの課題解決に寄与したいと考えている。
出典:水道統計(日本水道協会)
「天地人コンパス 宇宙水道局」について
※画像は「天地人コンパス 宇宙水道局」のサンプル。色のついている場所は水道管の漏水リスクの恐れのある場所を指している。漏水リスクの高低差を5段階に分けており、赤色は漏水リスクの最も高い場所を指している。
複数の人工衛星が観測したデータ(=宇宙ビッグデータ)やオープンデータから約100m四方の範囲内で漏水リスクの可能性区域を5段階で確認・管理できるクラウド型のシステム。
1.複数の人工衛星データ選定
世界各国500機以上の人工衛星から膨大なビッグデータを取得、気候変動の影響も踏まえた漏水リスクを事業体ごとに提案する。
2.漏水リスク評価
複数の人工衛星が観測したデータやオープンデータ、劣化・腐食要因や漏水発生情報等から機械学習(AI)を用いて統計学的に解析することで、評価精度を向上している。
3.評価内容の確認・管理
クラウド型の漏水リスク管理業務システム「天地人コンパス 宇宙水道局」で評価内容をいつでも確認できるだけでなく、漏水調査結果の入力・管理もできる。
4.検証・課題抽出
実地検証結果や市民からの通報内容をナレッジ情報として保存・印刷できる。また、AIに学習させることで解析精度を高めることが期待できる。
本システムで日常的に漏水地点を登録・管理することで、AIが蓄積した漏水データを基に漏水リスクを再評価(精度向上が期待)することも可能。2022年度に行なった内閣府との実証実験や他自治体へのヒアリングを通して、本システムの期待できる効果は点検費用が最大65%削減、調査期間が最大85%削減とされている。
青森市企業局水道部のコメント
本市の漏水調査は、市内をいくつかの区域に分け、漏水発生頻度に応じて3年から5年のサイクルで漏水量調査をし、調査区域をスクリーニングすることで効率的な漏水調査に努めてきましたが、本システムは市内給水区域を一度に調査することから更なる漏水調査の効率化が図られ、有効率・有収率の向上に繋がるものと期待しています。