No.4 次世代ゲーム~5Gの普及でゲームもストリーミングする時代へ~

2021年7月号掲載

インターネット環境の整備やスマートフォン(以下、スマホ)の普及により、動画や音楽などは定額制のストリーミングサービスへと移行していますが、2019年から、ゲームのストリーミングサービス「クラウドゲーム」が注目されています。
動画のストリーミングより高速通信が必要となるクラウドゲームですが、ストレスなく遊ぶためには、5Gのような高速・低遅延なネットワークが必要とされており、5Gの有望なユースケースの一つとして考えられています。
今回はクラウドゲームがどのようなサービスなのか、実際にサービスを使ってみた感想を含めてご紹介します。

クラウドゲームの仕組み

クラウドゲームは、ゲームのコントローラからの入力処理を含めた全ての処理をクラウド上で行い、ユーザーが所有する端末(スマホ、タブレット、PC等)に映像と音声をストリーミングする仕組みです。Netflixのように映像と音声をユーザーの端末にストリーミングするのですが、ユーザーのコントローラ入力を含めた処理がクラウドで発生するため、より低遅延なネットワークが必要となります。
クラウドゲームには、ユーザーが高価なコンソールやゲーミングPCを所有していなくても、サービスに対応するゲームで遊べるという利点があります。また、ユーザー自身でゲームのダウンロードやアップデートをする必要もないので、そのための待ち時間も発生しません。端末とネットワーク環境があれば、コンソールやゲーミングPC用のハイクオリティなゲームを手軽に遊ぶことができるのが、クラウドゲームの魅力と言えるでしょう。

国内のクラウドゲームサービス

国内で遊べるクラウドゲームサービスの一つにGeForce NOW(以下、GFN)というNVIDIAのサービスがあります(ソフトバンクとKDDIがパートナーとして提供)。
ユーザー登録をして実際に遊んでみると、固定回線でインターネットに接続したPCやスマホであれば、それほど遅延を感じませんでした。格闘やFPS(First PersonShooter:1人称視点でのシューティングゲーム)等の遅延にシビアなゲームを除くほとんどのゲームタイトルは、GFNが推奨する通信環境(下り15Mbps以上・Wi-Fi接続)であれば、ストレスなく遊べます。しかし、回線が混み合う時間帯に接続すると、画質とフレームレートが低下したり、操作入力からキャラクターが実際に動くまでに遅延があったりしたので注意が必要です。また、4Gモバイル回線では固定回線のように安定して通信できない場合があり、画質の低下等が頻繁に起こる可能性があるため、現段階においては、クラウドゲームで遊ぶ際には固定回線でインターネットに接続することを推奨します。

iPhone 12 ProにPS4コントローラをBluetooth接続してクラウドゲームをプレイする様子

5Gとクラウドゲームの普及が進むことで、モバイル回線でもストレスなくゲームを楽しむことができるでしょう。スマホのモバイルアプリゲームでは実現できないような、ハイクオリティなゲームをどこでも楽しむことができるようになります。また、既に所有するスマホを使って遊べるため、コンソールやゲーミングPCの購入や買い替えも必要ありません。
今後、クラウドゲームがメジャーなプラットフォームとなっていくのか注目です。
船津 宏輝(FUNATSU HIROKI)
情報通信総合研究所 ICTリサーチ・コンサルティング部 研究員 血液型:O型
専門:放送・メディア、通信・モバイル 好きな映画:スター・ウォーズ、アベンジャーズ

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