TVS REGZA(株)

「レグザテレビ視聴データ分析サービス:TimeOn Analytics」

コミュニティチャンネル 視聴データ活用の成功事例

TVS REGZA(株)(神奈川・川崎市、王偉社長)は、「レグザ」ブランドのテレビなどをはじめとする映像関連事業を手がける企業。そのTVS REGZAはクラウド事業センターにて、「レグザ」から収集した視聴データの収集・調査「テレビ視聴データ分析サービス:TimeOn Analytics」を提供している。データドリブン時代、ケーブルテレビ局にとっても視聴データは欠かすことができない。ケーブルテレビの顔であるコミュニティチャンネルの視聴状況は把握しておきたいところだろう。3年前から同サービスを活用している(株)ケーブルメディア四国(香川・高松市、藤綱郁夫社長)の担当者2人に、TVS REGZA(株) クラウド事業センターの小濱孝仁氏が視聴データの活用方法等について聞いた。

田中 敬二 氏 (株)ケーブルメディア四国 企画部企画課(左)
中村 加奈子 氏 (株)ケーブルメディア四国 放送部編成課(中央)
小濱 孝仁 氏 TVS REGZA(株) クラウド事業センター ビジネスソリューショングループ

01全国50局以上のテレビ局が利用中「レグザ視聴データ」とは?

TVS REGZAの「テレビ視聴データ分析サービス:TimeOn Analytics」は、全国の「レグザ」利用者から許諾を得た視聴データを提供するサービス。全国47都道府県を網羅し、コミュニティチャンネルを含む全放送局の視聴状況を把握することができる。
「レグザ」ブランドのテレビは、2022年度の家電薄型テレビ全体(液晶テレビ+有機ELテレビ)のメーカー別販売台数で24.1%のシェアを獲得し、シェアNo.1(※)となっている。近年さまざまなテレビで視聴データが取得可能となっているが、TVS REGZAでは先駆けて05年から視聴ログの収集を開始している。

※出典:BCNランキング(https://www.bcnretail.com/market/detail/20230125_313268.html

23年5月末現在で全国287万台のレグザから視聴データを取得しており、地上デジタル放送やBS・BS4K、CS放送のリアルタイム・録画再生視聴のほか、テレビ画面上の各種OT Tサービス、HDMI接続のFireTVやChromecast等の利用状況が把握できる。取得台数の多さと提供可能データの幅広さにより、現在では大手広告会社や民放キー局をはじめ50局以上のテレビ局に採用されているほか、広告出稿を行う企業でも多数利用している。さらに、ケーブルテレビが運営するコミュニティチャンネルの視聴ログも収集し、各局サービスエリア内の視聴データを提供している。今まで“見えなかった”“見てこなかった”コミュニティチャンネルの実態が見える化できる。

02活用事例インタビュー ケーブルメディア四国(CMS)

「勘や経験に頼らない番組編成に成功した」

コミチャン視聴データを番組編成・制作に幅広く活用

小濱:はじめに自己紹介をお願いします。

中村:私は放送部編成課に所属し、放送番組の選定や放送時間帯などの編成業務を担当しています。ケーブルメディア四国では、現在14本のレギュラー番組を制作し、生中継や特番などは年20本ほどを制作しています。

田中:私は企画部企画課に所属し、弊社が扱うさまざまなデータを、BIツールを活用して解析しています。そのなかに視聴データも含まれます。

小濱:レグザ視聴データ導入前の課題は何だったのでしょうか。

中村:視聴データ導入前は、2年に1度の加入者向けアンケート調査を行なっており、そのデータを参考にしていました。しかし、回答いただける方が限定的で、平均的な視聴状況が不透明でした。そのため経験値と勘を頼りに編成を組んでおり、実際に視聴者に届いているかどうか不安がありました。

小濱:STBを活用した視聴データ分析サービスもありますが、レグザ視聴データを採用された理由を教えてください。

田中:弊社は香川県高松市、東かがわ市、さぬき市、三木町でサービス提供をしており、地上波およびBS放送の再送信サービスを利用されている方が7万世帯ほどいます。一方で、STBを使いCS放送が楽しめる多チャンネル放送加入数は約2万世帯です。地域の平均を知る上では、調査対象をSTB利用世帯に限定せず、サービス提供エリア全域を対象とするレグザデータの方が良いと判断しました。弊社サービス提供エリアのレグザ調査サンプルは現在約3,000台あり、3年前の導入時から約3倍に増えていることで、比較的視聴の少ない番組でも解像度高く分析できるようになってきました。

小濱:視聴データをどのように活用されていますか。また、良かった点などはありますか。

中村:曜日や時間帯ごと、番組単位で接触台数がわかるので、どの曜日のどの時間帯にどの程度の視聴者が集まっているのか、そこに対してどんなコンテンツをお届けすれば視聴されるかがわかり、自信をもって編成が組めるようになりました。

田中:レギュラー番組の接触率を制作者に共有し、課題をあぶりだして番組制作に活かしているほか、特番も前年比較で評価しています。新番組も前週の同じ枠と比較検証するなど、あらゆる場面で活用しています。コミュニティチャンネルの番組は5分や15分、30分単位の番組が多く、番組単位で視聴数を把握できることが制作や編成に活かす上でも重要です。レグザは秒単位でデータが取得されているため、番組の放送枠ごとに分析することが可能です。また、録画再生の視聴データが取得できるのも大きなメリットだと感じました。

小濱:ドラマやバラエティ番組が録画再生視聴される傾向にありますが、御社ならではの特徴などはありますか。

田中:意外だったのが、スポーツ番組の録画視聴ですね。“スポーツは生放送”と思っていましたが、高校野球地方大会を録画視聴される人の多さに驚きました。高校野球は平日の日中に行われるため、地元の高校が出場する試合を録画して、夜に家族みんなで見る、といった視聴行動があることが分かりました。

小濱:データがあっても分析する人や時間が足りないという声をよく耳にしますが、御社が工夫していることはありますか。

田中:月次でレグザ視聴データをBIツールに入れて分析しています。あらかじめ可視化する指標を決めて、四半期ごとに開催される幹部会(課長から取締役まで)で、視聴ボリュームを月ごとの推移で説明しています。社内データ全般に言えることですが、データは定点観測し続けることが重要です。継続的に観測することで、視聴者ニーズの微妙な変化に気づくことができます。

視聴データに基づきコミチャンを大改編 最大1.5倍の視聴増加に成功

小濱:視聴データを活用されて、効果を実感した点がありましたら教えてください。

中村:22年4月に、コミチャンの大改編を実施しました。CMSでは2つのコミチャンを運営しており、22年3月までは121chをメインチャンネル、111chをサブチャンネルとして、121chではレギュラー番組を、111chでは生中継などの長尺番組や全国のケーブル局が制作した番組やCS放送の番宣番組を放送していました。
121chは一部地域で視聴できないこともあり、22年4月からは111chをメインチャンネルとし、レギュラー番組や生中継を含む長尺番組を編成し、サービスエリア内の情報に特化しました。そして121chでは全国のケーブル局制作番組やCS放送の番宣番組を中心に編成しました。
この改編の際、視聴データを大いに活用して編成を決定しました。生中継を見た視聴者がその後のレギュラー番組も継続視聴いただけるようになった等の効果により、メインチャンネルの接触率が大きく上昇し、最大で50%(年平均で10%)ほどアップしました。
また、121chもCS放送の番宣番組の接触率がアップし、多チャンネル放送に加入されるケースもあり、良い結果が生まれたと思います。

小濱:111chを地域コンテンツ、121chを全国コンテンツと色分けしたことで、視聴者も選択しやすくなったのでしょう。ケーブル局のコミチャン運営に接触率データが貢献できていることがわかり、うれしく思います。

中村:時代によって人々のニーズも生活スタイルも変わります。当然、番組の嗜好も変化します。定量調査を行わなければ、視聴者の変化に気づくことはできないでしょうし、新しい番組が作れないと思います。
接触率データを活用後、新しい発見が常にあります。確かに見たくないデータもありますが(笑)、それ以上に番組が視聴されていることがわかってうれしいですし、もっと伸ばす方法を知りたいと思えるようになりました。

田中:導入前は、作り手のモチベーションが下がることを懸念していましたが、実際は逆でした。視聴されていることが分かり、制作者のモチベーションアップにつながりました。

小濱:まずは知ることが重要だということですね。視聴データを活用して今後やってみたいことはありますか。

中村:時代によって人々のニーズも生活スタイルも変わります。当然、番組の嗜好も変化します。定量調査を行わなければ、視聴者の変化に気づくことはできないでしょうし、新しい番組が作れないと思います。
接触率データを活用後、新しい発見が常にあります。確かに見たくないデータもありますが(笑)、それ以上に番組が視聴されていることがわかってうれしいですし、もっと伸ばす方法を知りたいと思えるようになりました。

田中:男女別、若い人向け、年配者向けなどターゲット層を明確にした番組作りを進めていますので、性年代別の視聴傾向を分析していきたいと思います。また、AIによる視聴分析が可能になった際には、ぜひ活用してみたいと思っています。

平均接触率のレーダー折れ線分析イメージ
平均接触率のヒートマップ分析イメージ

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