(株)朋栄 インタビュー

小型で高性能な「CG-Portable」ケーブルテレビの現場で力を発揮

ニュースやスポーツ中継などで利用されるキャラクタージェネレーター。(株)朋栄(東京・渋谷区、清原克明社長)は、4K/HDに対応した「EzV-300」をはじめ、放送局のニーズにマッチした製品群をリリースしてきた。2019年11月、朋栄は、これまでにない発想のキャラクタージェネレーター「CG-Portable」の販売を開始した。

多田野 剛氏
多田野 剛氏
(株)朋栄 システムサービスカンパニー 次長
手のひらサイズで27万円の低価格 中継先でもスタジオでも利用可能

「CG-Portable」は、ハードウェアを英国のInSync Technology社(インシンク)が、Brainstorm社のGUIを採用した斬新なキャラクタージェネレーター。特性を一言で表すと、小型ながらに高性能。サイズは、縦10.2㎝×横12.5㎝の手のひらサイズで、重さも410gと、中継現場やイベント会場などへの持ち運びに適している。

「CG-Portable」
縦10.2㎝×横12.5㎝の手のひらサイズの「CG-Portable」

このサイズながら制御用のPCとの接続で、簡易なテキストやロゴ挿入、時間やカウントダウン表示が行える(設定後は、PCなしで文字表示が可能)。しかも27万円という低価格帯を実現。「中継時には現場に大型テロッパーを用意する必要がありますが、もっと手軽に持っていけるキャラクタージェネレーターが欲しいとのニーズから誕生した製品です」と(株)朋栄 システムサービスカンパニー 次長の多田野 剛氏は開発意図を説明する。
「CG-Portable」は、2系統(縦・横)のテキスト表示が可能で、文字のクロール(右から左、左から右いずれか選択)、ロール(上から下、下から上いずれか選択)機能も搭載し、クロール&ロールの同時表示も行える。また、トゥルータイプフォントを使用し、日本語だけでなく、外国語での表示ができる。在留外国人数が増加傾向にある現在、台風や地震などの緊急災害発生時などの中継レポート等では、外国語によるテロップ出しができるのは心強い。文字のサイズや色、エッジなども好みのサイズや色を再現可能。文字の背景、通称「座布団(タイトルやテロップを読みやすくするために背景に敷く四角や丸などのベース)」にカラーを挿入することができるほか、透明度も調整できる。映像と調和がとれたナチュラルなテロップはもちろん、すぐ目に入ってくるインパクト重視の表示も可能だ。
テロップだけでなく、グラフィックの表示もできる。静止画はPNGファイルで保存。PNGの静止画を連番でZIPファイル化することで、アニメーション表示も行える。タイマー表示は、時刻とカウントアップ&カウントダウンが行え、時刻はNTPサーバーと接続して表示する。
「CG-Portable」は、3G/HD-SDI入出力に対応。カメラ映像をダイレクトに接続しての内部MIX出力と、ビデオスイッチャーとの接続によるFill/Key出力の両設定が可能。Genlock機能も付いており、中継現場&スタジオと場所を選ばず利用できる。

縦横2系列同時表示
外国語表示もできる
中継&ネット配信、サイネージまでさまざまなシチュエーションで活躍

「CG-Portable」は、Brainstorm社開発のGUIを採用しているが、Brainstorm社は、スペインの放送番組や映画フィルム制作、リアルタイムのグラフィックプレゼンテーション向けに、インタラクティブなリアルタイム3Dグラフィックスを提供している企業。バーチャルスタジオと3Dグラフィックスの設計とリアルタイム再生技術、使い勝手の良さで日本でも高評価を得ている。なお、朋栄は、Brainstorm社とバーチャルスタジオ領域で共同開発を行なっている。
「CG-Portable」の活用としては大きく3つに分類できる。ひとつがビデオカメラと「CG-Portable」を3G/HD-SDI接続しての使用。カメラ1台程度でのケーブルテレビ局のデイリーでの中継や、インターネット配信時などで活用できる、まさにローコストキャラクタージェネレーターだ。次がビデオスイッチャーを使用時での中継時。この場合は外部リファレンス信号と「CG-Portable」をベースバンド接続し、3G/HD-SDIでビデオスイッチャーに接続する。「大がかりなスポーツ中継などでは、予備系ロゴジェネレーターとしての活用に適しているほか、サポート的なテロッパーとして使えます」(多田野氏)。また、「CG-Portable」はカウントダウン&タイマー表示が設定ひとつで簡単に行えるので、タイマー表示を必要とするマラソンや駅伝などでの中継時の利用も想定され、実際にトライアルしたいとの声が届いているとのことだ。
最後が施設などでのサイネージ利用。「CG-Portable」は、社内LAN経由、遠隔地からインターネット経由で制御することもできるため、施設内や企業受付のサイネージなど、放送以外の用途でも利用できる。
このように「CG-Portable」は使用用途も広い機器だが、「地域のお祭りやスポーツなど、比較的小規模な中継が多いケーブルテレビ局で利便性が高いソリューションだと思います。また、縦と横同時、かつどちらもクロール&ロールで表示可能なので、台風や地震時には、L字画面のように使い、情報提供し続けることができます」と多田野氏は説明する。

図1
カメラと直接接続(左上)、ビデオスイッチャーを使用時(左下)、サイネージ等での利用も可能(右側)
Webブラウザから管理&操作 文字入力も各種設定も簡単

「CG-Portable」は、PCで制御するシステムとなっており、操作はWebブラウザ上で行う。どのWebブラウザソフトでも対応可能だが、推奨ブラウザはMozillaのFireFox。PCはどの機種でも問題ない。
内部構成(CG-Portableの概念)は、静止画やアニメーションファイル、フォントなどの登録を行う「Asset」と「Show」と称する箱(フォルダ)の2つ。実際のテロップ入力や表現手法や効果などは、この「Show」を作り、そこで設定を行うが、「番組ごとなどに作成し、設定して使用することもできます」と多田野氏は語る。
設定は、まずコンフィグレーション画面で、ビデオ入出力、DSKモード設定、キャラクタージェネレーターの表示レイヤーなどの設定を行う。DSKモードは、「CG-Portable」をカメラとの直接接続時はオフ、ビデオスイッチャーを使った中継時はオンにする。DSKモードの場合、外部リファレンス信号のシステム位相の調整を「CG-Portable」で行うことができる。
コンフィグ設定後、「Show」を作成し、実際のテキスト入力を進める。
「Show」内の設定も簡単だ。テキスト表示2つ、グラフィック、タイマー使用などの各項目はON/OFFスイッチひとつ、縦表示、横表示の表示切替、テキスト表示位置の設定もバーを操作するだけで決められる。クロール&ロールも同様にクリック一つで完了する。当然、文字の大きさと文字数によって、静止での表示とクロール&ロールが行える。なお、「Asset」に保存してある画像やフォントは、「Asset」から使用したい「Show」へ移動しておくだけで良い。なお、「CG-Portable」は、1.6GのSDカードを実装しており、静止画ならば約70枚の保存が可能だ。このように、Webブラウザ&簡単操作だから、制作スタッフ不在や人数が足りない場合などでは、他部署のスタッフが対応することもできるだろう。
「CG-Portable」は、放送はもちろん、インターネット配信、サイネージと多岐にわたって利用可能なコンパクト&高性能なキャラクタージェネレーター。お祭りや催事、スポーツ大会、そして商店街からの中継と、日々中継をこなすケーブルテレビ局に特におススメの製品と言えるだろう。

シンプルで使いやすい操作画面

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