最小限のスタッフでの中継を可能にするDejero社簡易伝送ソリューション
中継現場を限られた人数のスタッフで行うことも増えてきました。放送局の中継スタイルが変化したことで、手軽に即応体制がとれる機材のニーズが高まっています。朋栄は、このニーズに対応するDejero Labs Inc.社(本社:カナダ)の簡易伝送ソリューションの活用をご提案します。
Dejero社の簡易伝送ソリューションは、各種回線を組み合わせて帯域を最適化し、高画質映像を伝送できることが特長。携帯回線を最大6回線、衛星回線、Wi-Fi接続やインターネット回線から、任意の8回線をブレンディングして映像を途切れさせずに伝送できます。中継ワークフロー全体を考慮したソリューションになっており、スタジオサブ側と連絡するインカム機能や、現場への返し映像、収録素材のファイル転送などを網羅しています。また、モバイルアプリケーションの活用により、スマートフォンやPCからの中継、テレワーク出演も可能となります。
■ 現場で使うEnGoと局で受けるWayPoint
Dejero社の簡易伝送ソリューションで最も小型ポータブルな機材がEnGoシリーズです。SDIとHDMIの入力端子があり、SDからHD1080/60pまでの映像を入力。伝送用回線として携帯キャリア各社のNanoSIMカードを最大6枚まで使用でき、Wi-Fi接続やLAN/WAN接続のインターネット回線も合わせて最大8回線をブレンディングできます。最新の「EnGo 260」は、3G/4G/LTEのほか5Gローバンドも利用できます。EnGo 260はバッテリーが内蔵されており、フル充電で最大3時間の映像伝送が可能。カメラバッテリーを補助バッテリーとして接続して、より長時間の中継に対応します。十分な回線の帯域が得られない現場では、映像伝送しながらEnGoの内蔵ストレージに収録したり、収録後の映像ファイルを転送できます。
各回線を通じてパケットが送られるEnGoの中継映像は、放送局側ではインターネット接続された1Uサイズの受信装置WayPointで受信します。4台のEnGoから映像を受けて、それぞれをSDI出力。新しい「WayPoint 204」ではSMPTE ST 2110でIP出力できますので、今後のIP 環境にも対応可能です。EnGoとWayPointの組み合わせはWebサービスであるDejero Controlで設定。EnGoの伝送コーデックは、WayPoint側からH.264/AVCまたはH.265/HEVCを選べます。コンテンツ再生状態に応じてビットレートを最適化するABR(アダプティブビットレート)も採用しており、高品質な映像伝送ができます。中継現場においてはEnGoのスイッチを入れて回線接続することで、すぐに中継を開始。現場で回線速度に応じた画質設定をする必要はありません。
■ インカム機能など中継ワークフロー全体を考慮
生中継時にはスタジオサブから指示を出したいことも多いと思います。EnGoにはIFB端子があり、スタジオサブの音声指示をWayPointからEnGoに伝えられます。さらに、EnGo 260はUSB端子にUSBヘッドセットを接続し、WayPoint側のUSB端子にUSBオーディオインターフェースを接続してマイク/ヘッドセットをつなぐことで、双方向の音声通話ができるインカム機能も追加できます。
リターンビデオサーバー「CuePoint」を使うと、既存インターネット回線を使用して、スタジオサブから中継現場へ2系統の映像を最小遅延で送り返せます。中継現場からスタジオの様子がわかると、スタジオとの掛け合いもしやすくなります。返し映像は、スマートフォンやタブレットを活用してWebブラウザでの確認や、EnGo 260のディスプレイポート出力に繋いだモニターでの確認ができます。2系統の映像を送れるので、1系統は返し映像、もう1系統はレポーター用のプロンプター表示といった工夫も可能です。
中継車などでは、ライブ中継の間にファイルや素材をやりとりしたいこともあります。Dejero社には、回線のブレンディング技術を活用して広帯域データ通信を行うGateWay Routerがあり、複数回線を使用したモバイルルーターのように扱うことができます。
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