日本テレビ、映像編集時に自動でモザイクを入れるAIソフトウェアをリリース(22.7.5)

日本テレビ放送網(株)(東京・港区、石澤顕社長)は株式会社NTTデータ(東京・江東区、本間洋社長)の協力のもと、映像編集の自動モザイク入れAIソフトウェア「BlurOn(ブラーオン)」をリリースした。
BlurOnは従来、映像編集者が1フレームずつ行っていた人物の顔やナンバープレートなどへのモザイク入れを自動化できるソフトウェア(※1)。モザイク入れは非常に手間のかかる作業で、例えば1分の映像素材へのモザイク入れはベテランの映像編集者でも1時間程度かかることもあり、現場の課題となっていた(※2)。さらに近年では、個人情報保護の重要性の高まりから、番組映像についても一層の慎重な取り扱いが必要となり、作業負荷が増大している。
日本テレビやグループ会社におけるBlurOnを使った実験では、作業時間を最大90%程度効率化できる結果が得られた。BlurOnは全ての映像編集者のモザイク入れ作業を効率化し、現場の働き方改革を目指す。

モザイク編集の編集前後イメージ(上図:編集前、下図:編集後)

図:手作業とBlurOn利用時のモザイク掛け作業時間比較イメージ

※1:本ソフトウェアはAdobe After Effectsのプラグインとして利用可能。
※2:修正箇所や映像の内容により修正時間は前後する。

■ プロダクトの概要と特徴
BlurOnは映像編集者のモザイク入れ作業を効率化するためのソフトウェア。 導入の検討やデモを希望する場合には公式サイトを参照。
アプリ導入の相談の他、 日本テレビの持つ映像編集ノウハウを活かした「モザイク入れ作業」自体の代行・請負も受け付ける。
プロダクトページ: https://blur-on.com

<プロダクトの特徴>
1.AIで自動検出可能な対象:顔、 頭部、 全身、 ナンバープレート
2.Adobe After Effectsのプラグインとして利用できるため、 別ソフトの立ち上げなどが不要。
3.クラウドで検出処理を実施するため、 必要最低限のPCスペックで動作可能。
※自動検出する対象は今後随時追加されていく予定。
※NTTデータ社のAI技術が使われている。
※BlurOnの利用にはAdobe After Effectsと同ソフトウェアが動作するPCが必要。

<使い方>
(1)Adobe After Effectsにモザイクを入れたい動画ファイルを追加
(2)クラウドにアップロード(自動処理)
(3)顔などの検出情報をダウンロード
(4)Adobe After Effectsで用途に合わせてエフェクト(ぼかし、 モザイク、 色付けなど)・領域の形・位置などを調整可能

■利用者の声
株式会社日テレ・テクニカル・リソーシズ(NiTRo)
「警察に密着するような番組の場合、 背景にモザイクをかける事が多く、 それこそ人海戦術でしたが、 BlurOnを使えばかなり時間は削減できると思います。 手作業に比べて処理速度が非常に早く、 検出精度も高かったです。 例えば、 人と人が前後に被っている群衆の映像などでも、 個々の人に独立したマスクがかかっていました。 また、 自動検出できる部位が顔や頭部だけでなく、 身体全体も検出できる点は良いと思います」

株式会社イカロス
「BlurOnではどんなに大人数でも一気にマスクレイヤーを作成できてモザイクがかかるのでかなり作業が速くなりました。 例えば、 モザイク入れの多い番組で約96時間(4日間)程度かかっていたモザイク入れ作業が50%程度の約48時間に削減されました。 BlurOnが無いと最初から全部自分でやらないといけないので精神的にはかなり救われました。 また、 事前にモザイク処理の設定(モザイクの濃さ、 フェードイン/アウトなど)が細かく指定できるので便利です」

■ AIモザイク入れソフトウェア「BlurOn」について/今後の展開
BlurOnは、 全ての映像編集者のモザイク入れ作業を効率化するソフトウェア。 映像編集の効率化により編集現場の働き方改革、 業務効率化および生産性を向上させる事を目的としている。 煩雑で時間のかかる、非クリエイティブな単純作業から映像編集者を解放する事で、本来重要なクリエイティブな時間を作る。 現在の自動検出対象は限られているが、 今後利用者の声を参考にしながら対象を増やすとともに、 Adobe After Effects以外の映像編集ソフトウェアへの対応も検討している。 また、 海外の映像編集者にも同様の課題があると考えられることから、海外にも展開していく考え。