「レグザテレビ視聴データ分析サービス:TimeOn Analytics Cable」
コミュニティチャンネル視聴データを利用した番組改善事例
TVS REGZA(株)(神奈川・川崎市、王 偉社長)は、2024年9月、「TimeOn AnalyticsCable」のオンラインダッシュボードをリリースし、番組強化を図るケーブルテレビ局から注目を集めている。佐賀県武雄市(山内町を除く)、杵島郡大町町、江北町、白石町をサービスエリ アとする(株)ケーブルワンは、このダッシュボードサービスをいち早く導入した。そこで、同社の担当者2名にTVS REGZA(株)クラウド事業センターの小濱孝仁氏がダッシュボードの活用方法等について聞いた。
ケーブルテレビ局専用の視聴データダッシュボードとは?
「TimeOn Analytics Cable」は、全国の「レグザ」利用者から許諾を得て取得されたテレビ視聴データ(地上波・BS/CS・動画配信)を提供するサービスのうち、コミュニティチャンネルデータに特化したソリューション。信頼性の高い視聴データ提供のためには、調査サンプル数の多さが求められるが、「レグザ」は薄型テレビの国内総販売台数で2022年から2年連続トップを維持している(※出典:BCNランキング(https://www.bcnretail.com/market/detail/20240219_402522.html))。24年9月時点における調査対象台数は全国で375万台。さらに低価格帯~高価格帯までバランスよくデータを取得しているため利用者の偏りが少なく、そこがデータの信頼性を高めている。
TVS REGZA(株)は、ケーブル局が放送するコミュニティチャンネルの視聴データを集計・提供するサービスを2017年からスタート。24年10月時点でケーブル局22社に採用され、今現在も多数の引き合いを受けている。なお、調査対象は、STBを経由していないコミチャン視聴データである。
「TimeOn Analytics Cable」のオンラインダッシュボードでは、Webブラウザ上でコミチャ ンの視聴状況を1分単位・番組単位で確認でき、データは365日デイリー更新される。帯番組やシリーズ番組の視聴推移、曜日や時間帯ごとの期間平均データ、番組コーナーごとの視聴率などがグラフィックで分かりやすく表示される。また、ダッシュボードでは自局と同一県内の他ケーブルテレビ局のコミチャン視聴状況も把握することができる。
活用事例インタビュー (株)ケーブルワン
「番組コーナー単位で視聴分析、視聴率向上に成功した」
大規模サンプルだからできる詳細分析
─放送部の業務内容を教えてください。また、業務上での課題などはありましたか。
前田:コミュニティチャンネルの番組制作と編成を担当しており、弊社では、2016年からSTB経由の視聴データを取得していました。しかし、STB経由のデータ取得は500台限定で、データの信ぴょう性に疑問を感じていました。また、動画配信サービス普及の影響から、STBの解約が進んでいます。そのため、データ取得対象のSTBが解約されるたびに手作業で取得対象機器の設定変更を行う手間もありました。
─サンプル数と作業負荷が課題感として大きかったのですね。弊社サービスを知ったきっかけは何だったのでしょうか?
前田:23年7月号の「B-maga」でコミチャン視聴データのサービスを知り、さっそく問い合わせしました。レグザデータでは現時点で、1,400台以上の調査対象台数を確保しているため、データの信頼性も高いと感じています。また、レグザ一台一台から個別に視聴データの取得・利用の許諾を取っており、レグザが購入されるほど自然と調査台数が増えるためSTB経由視聴データのような取得設定の手間もかかりません。レグザさんには、問い合わせした当時からExcelのデータ可視化ツールの作成等で伴走支援いただけたこともあり、導入を即決できました。 今回のオンラインダッシュボード化で1分単位の視聴率表示にも対応されましたが、サンプル数が多いからこそできる分析だと思います。
─ありがとうございます。実際に、視聴データをどのように活用いただいていますか。
前田:週に一度、その週の視聴率ランキングなどを用いて、視聴結果を振り返るようにしています。さらに自社制作番組は放送回ごとに1分単位で詳しく視聴率を確認しています。視聴率がグラフ化されて一目で分かるので、放送部だけでなく、経営層をはじめ社内全部署でデータを共有しています。
森:特に、1分単位で番組コーナーごとの視聴状況がわかるのがうれしいですね。弊社では月~金曜日放送の情報番組『サプライフ!』に力を入れています。番組内には約20のコーナーがあり、コーナーごとの視聴率の増減がわかるので、視聴者の皆さまが番組に求めることが、今まで以上に精度高く把握できるようになったと感じています。
─視聴データを社内全体に共有されているとのことですが、どのような狙いがあるのでしょうか?
前田:コミュニティチャンネルはケーブル局にとって最も大切な事業だと思っています。インターネットサービス等は他社でもできますが、コミチャンはケーブル局しかできません。例えば11chの情報番組等で地元情報をお届けすることはもちろん、12chの防災チャンネルもコミチャンならではの取り組みです。地上波局では災害が起こってから初めて報道されますが、防災チャンネルでは事前に災害が起こりそうな地域の様子を、ライブカメラの映像を通して確認できます。 令和3年度に武雄市で大雨が降ったのですが、当時は防災チャンネルの視聴率が地上波を超えていました。このようにチャンネル・番組がしっかり見られていることを社内に共有することは、会社が一丸となってコミュニティチャンネルに取り組む上で重要だと考えています。
─オンラインダッシュボードでは他ケーブル局の視聴率も確認できますが、メリットを感じていますか?
森:各ケーブル局の特色・強みがわかるようになりました。実際に他局の視聴率を確認することで、ニュースやお祭りなど、その局によって得意なジャンルが異なることがわかります。特にニュースが強い局の編成を見てみると、地上波のゴールデンタイムを避けた19時前からニュースを放送しており、高視聴率の一因となっているようです。弊社の情報番組『サプライフ!』は19時スタートなので、「他局と同じように放送時間を前倒しすると視聴率が上がるのでは?」という新たな仮説が浮かび上がりました。このように同県の他ケーブル局の編成や視聴率と比較することで、視聴率をさらに上げるための改編アイデアが生まれることがメリットのひとつですね。
─オンラインダッシュボードの導入効果を感じている部分はありますか?
前田:業務効率改善に繋がっていると感じています。STB経由の視聴データを利用していた当時は、大量のデータから日別の視聴数グラフを一つひとつExcelで作成していました。オンラインダッシュボードはグラフ化された状態でデータを見られるので、作業が格段に楽になっています。さらに、ダッシュボードに番組名を入力すると、その番組の放送回ごとの視聴結果がすぐに表示されるので、注力番組の視聴分析の際に重宝します。
森:PDCAサイクルの精度が上がったと思います。同じ帯番組でも曜日やコーナーごとに視聴率が如実に変わるので、どうすれば視聴者の皆さまに喜んでもらえるか、だんだんと見えてくるようになりました。例えば、地元の方々がテレビに映ると視聴率が伸びやすいことが明らかになったので、グルメレポートであってもレポーターだけでなく、なるべく 地域の皆さまが映るように工夫しています。これまで感覚的に持っていたアイデアを実際に試して、1分単位の視聴データで取り組みが間違いなかったと確認できるようになったのが、ダッシュボードの導入効果としては大きいですね。
─今後、レグザデータを使って取り組んでみたい施策などはありますか?
森:広告営業に力を入れることを検討しています。今まで番組で放送されるCMについては、 積極的に営業活動することなく、引き合いをいただいた広告を放送していました。これまでお伝えしたような番組改善を続けたことで、今は視聴数が上がってきています。今後は、視聴データに基づいて広告価値を示すような取り組みも始めていきたいですね。
─その他、弊社にサービス面で求めるものなどはありますか。
前田:データの活用術・ノウハウを教えてほしいですね。レグザさんは地上波局とのお取り組みも多くありますので、各局がどのような目標設定をして、どのようにデータを活用しているのか、非常に興味があります。
─レグザ社がケーブル局様・地上波局様との架け橋となって、皆さまに役立つ情報を提供していきたいと思います。本日はありがとうございました。
※「オンラインダッシュボードCable」 1週間無料お試し申し込みは下記サイトまで
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