テレビ東京、最先端3DCG制作のD・A・G社と資本業務提携(23.11.9)
(株)テレビ東京ホールディングス(テレビ東京HD、東京・港区、石川一郎)が、他の放送局に先駆け、次世代の映像コンテンツ制作技術「バーチャルプロダクション(VP)」の本格導入を進める。今回、最先端の3DCG(3次元CG)やゲーム開発などを手がける(株)D・A・G(ディー・エイ・ジー、東京・港区、酒井優一社長)に出資し、資本業務提携。出資比率は2割で、テレビ東京HDから役員も派遣し、D・A・Gは持分法適用会社となる。
来春から順次、テレビ東京の自社スタジオをVP化し、まずは経済ニュース『WBS(ワールドビジネスサテライト)』『Newsモーニングサテライト』のVP制作をスタート。2025年4月までに、自社スタジオを使って制作する番組の6割にVPを導入していく。 D・A・Gへの出資を含め、VP関連への投資額は最大で17億円となる。これにより、制作プロセスやスタジオ運用の効率化を実現、テレビ東京のコンテンツ制作力とD・A・Gの3DCG技術の相乗効果により、進化を続けるVPを使った魅力的な映像コンテンツを提供していくとしている。
バーチャルプロダクション(VP)について
「仮想デジタル映像とリアル映像」を組み合わせて、コストを抑えながら多彩な映像表現を可能にする次世代の映像コンテンツ制作技術。バーチャルプロダクション(VP)とは、グリーンバックや大型LEDディスプレイを背景に使い、3DCG(3次元CG)などで作った仮想背景と、位置情報センサーを取り付けたカメラで撮影したリアルな映像を合成する。
◆音楽番組の事例
6月に放送した音楽番組『テレ東音楽祭』では、ステージの背景に巨大なLEDディスプレイを設置し、そこに3DCGで作った工場から立ち上る炎を映すことで、アーティストがその場所でリアルに演奏しているかのようなシーンを演出。
◆ドラマのシーン
3月に放送したドラマ『ひとひらの初恋』は、全てのシーンの背景を大型LEDディスプレイを使ったVPで制作した。
◆この10月からは一部のレギュラー番組にもVPを導入
例えば、3DCGで巨大なサッカースタジアムを作り、スタジオのリアルな人物と合成して、あたかもその場にいるような臨場感のある映像表現が可能に。
効率化によるメリット
- 背景セットを3DCG化することで、美術セットの制作費を削減。
- 番組ごとのスタジオセット(背景の美術セットなど)の切り替え作業には、大道具・小道具を入れ替えたりするため数時間を要するが、VPでは背景の3DCGを切り替えるため、短時間でのセットチェンジが可能に。これにより、スタジオの稼働率を大幅に引き上げ、利用状況に応じて一部のスタジオを外部に貸し出すことも検討。
成長投資戦略における位置づけ
テレビ東京グループは2023年度からの3か年の中期経営計画において、成長のための合計200億円の投資枠を設けている。最先端技術の活用によるコンテンツ制作力強化は成長力の大きな柱と考え、今回のD・A・G社との資本業務提携を成長投資戦略の一環と位置づける。両社はVPに関する連動だけにとどまらず、今後はオリジナルIP(知的財産)の開発も進めていくという。