シャープ、東京都三鷹市立中学校で部活動中の暑熱対策の検証を実施(23.7.11)

シャープ(株)(大阪・堺市、呉 柏勲 社長執行役員兼CEO)は、Biodata Bank(株)(東京・渋谷区、安才武志 代表取締役)および東京都三鷹市教育委員会(貝ノ瀨 滋 教育長)と共同で、シャープの適温蓄冷材とBiodata Bank(※1)のウェアラブルデバイス「熱中対策ウォッチ カナリア」(以下、「カナリア」)を活用し、部活動中の暑熱対策に関する検証を三鷹市立中学校4校で7月11日より実施する。

左:部活動中の暑熱対策の検証に活用する適温蓄冷材、右:ウェアラブルデバイス「カナリア」

毎年の猛暑により、熱中症リスクは高まりつつある。特に教育機関における熱中症の発生件数は年間約5,000件、そのうち部活動中の発生が約6割を占めているとされ(※2)、教育現場での熱中症対策の重要性が増している。一方で、熱中症の発生リスクは暑さへの耐性や体調によっても異なるため、学校側が一人ひとりのリスクを正確に把握することは非常に難しい状況だ。

一般的に、熱中症は深部体温(※3)の上昇を起点に発生することが多いため、活動前に深部体温を下げる「プレクーリング」により、その後の体温上昇を抑制することや、深部体温の上昇を早期に検知することでリスクが軽減されるものと期待される。

今回の検証には対象の部活動に所属する生徒計約410人が参加する。深部体温の上昇が検知可能な「カナリア」を装着し、部活動開始前には適温蓄冷材で手のひらを冷やす「プレクーリング」を実施してから部活動に取り組むことで、「プレクーリング」の効果的な運用やリスク検知時の適切な休憩設定などの検証を行う。また、「カナリア」で計測したデータを検証期間終了後に収集し、部活動ごとや練習内容による暑熱リスクの総合的な分析を実施する。このほか、三鷹市立中学校5校の生徒計約560人にも、適温蓄冷材を使用した「プレクーリング」を体験してもらい、暑熱リスクの軽減と対策の周知を図る。

シャープはBiodata Bankおよび東京都三鷹市教育委員会とともに、本検証の結果をもとにこれらの機器を活用した暑熱対策の実用化に向け検討を進めていく。また、政府が掲げる「熱中症対策実行計画(※4)」の中期的な目標の達成に向け、貢献していく考え。


■部活動中の暑熱対策に関する検証の概要
【名称】適温蓄冷材と「カナリア」を活用した暑熱対策プロジェクト
【概要】
 ・適温蓄冷材を活用した「プレクーリング」の運用
 ・「カナリア」を活用した適切な休憩設定
 ・「カナリア」から取得したデータによる暑熱下のリスク分析
【対象者】東京都三鷹市立中学校4校の生徒計約410人

【期間】2023年7月11日~約2ヵ月間

※1 Biodata Bank社のWebサイト(https://biodatabank.co.jp/)
※2 参考:独立行政法人日本スポーツ振興センター「学校管理下の災害(平成30年版)」
※3 脳や臓器など体の中心の機能を守るために一定に保たれる体温。
※4 2030年までに熱中症による死亡者数を現状から半減させることを目指す計画。