ソニーグループと三井物産、首都高公募のローカル5G広域展開に向けた実証実験に参画(23.5.15)
ソニーグループ(株)(東京・港区、十時裕樹社長COO兼CFO)と三井物産(株)(東京・千代田区、堀 健一社長)は、首都高速道路(株)が公募した「都市内高速道路でのローカル5G広域展開のためのダイナミック周波数共用技術に関する研究」を開始した。
ローカル5Gは、地域の企業や自治体等の様々な主体が、自らの建物や敷地内で個別かつ柔軟に5Gネットワークを構築し利用可能とする新しい仕組み。多様なニーズに用いられることが期待される一方で、近接するローカル5Gエリア間との干渉調整が課題となっている。また、ワイヤレス利用拡大に伴う周波数資源のひっ迫は社会課題でもある。
今回の実証実験は、電波の干渉調整を自動化するダイナミック周波数共用(Dynamic Spectrum Access)技術※1(以下「DSA技術」)をローカル5Gに応用する点において、世界で初めて※2の試みであり、国内のローカル5G制度の協調的な利用に寄与する。
実施概要
都市内高速道路におけるローカル5G広域展開に向けて、首都高と近接する土地のローカル5Gのネットワーク共存を想定し、DSA技術を用いた実証実験を3社共同で開始した。
都市内高速道路は線状のエリアを持ち、ローカル5Gの展開において、近隣するエリアとの干渉調整が課題である。DSA技術システムの導入により、ローカル5G間の干渉調整を自動化し、利用者間の円滑な運用を実現する。
今回は、近接するローカル5G間の電波干渉調整と周波数管理の自動化に向けた、技術課題の抽出、実用性を検証。この実験成果を活用し、安定した通信環境下で、点検車両からの高速道路の破損状況の映像データ伝送等、多様な通信トラフィックや実現したい具体的な事例に合わせ、限られた周波数資源の利用効率を高めることが期待される。
本研究における両社の役割:
ソニー:研究統括、DSA技術システム構築・導入、アルゴリズム検討等
三井物産:ローカル5G整備、周辺環境調整・渉外対応等
本研究にあたり、三井不動産(株)(お台場エリア)・三菱地所(株)(大手町エリア)・東京国際エアカーゴターミナル(株)(羽田空港国際線エリア)より、都市内高速道路に近隣する各エリアの用地の提供を受けている。
期間:
2023年5月〜2024年3月を実施期間とし、①実験環境構築および②要件検証の2段階に分けて行う。
ソニーと三井物産は2021年に世界で初めて、ソニーの保有するDSA技術をスタンドアローン方式の5G環境下で動作させることに成功し、同技術を用いた周波数資源活用にかかる事業化の検討を進めてきた。※3
今後迎えるローカル5Gの本格普及期を見据え、今回の実証実験を通じて得られた知見をもとに、ローカル5Gを推進する様々なパートナーとともに本技術の活用の場を拡げていく。また、周波数利用の先端的なビジネスおよび技術プラットフォームの構築を推進し、世界各国が抱える共通の課題である電波資源の有効利用に貢献していく。
※1:あらゆる周波数帯をデータベースで一元管理し、電波干渉を抑制しながら、リアルタイムで空いている周波数帯を割当てることで、限りある周波数資源を無駄なく最大限活用する技術。
※2: 2023年5月広報発表時点。ソニーグループ株式会社、三井物産株式会社調べ。
※3:関連プレスリリース 「世界初、スタンドアローン方式の5Gとダイナミック周波数共用システムの接続実験に成功」(2021年8月11日発表)